省令「医療法人会計基準」第18条では、損益計算書の基本的な区分について規定されています。なお、事業損益については、第18条においてさらに細かな区分が規定されていますから、そちらもあわせて参照してください。
第18条 損益計算書は、事業損益、経常損益及び当期純損益に区分するものとする。
様式第二号と第18条の区分との関係
損益計算書は、事業損益、経常損益および当期純損益の3つに区分します。
各区分は、利益の名前で規定されていますが、いずれもそれらの利益を計算するために必要な要素(収益や費用)が記載される場所を意味します。第17条に規定される損益計算書の様式(様式第二号)には、貸借対照表の様式(様式第一号)のように、各区分が「〇〇の部」という形で示されてはいません。
様式第二号の大項目と第18条に規定される区分の関係をまとめると、次のようになります。

なお、3つの損益はそれぞれ独立したものではありません。経常損益は、事業損益に事業外収益、事業外費用を加減して計算され、当期純損益は、経常損益に特別利益、特別損失を加減して、これに法人税等の調整を行って計算されるため、相互につながりがあります。
3つの損益の意味
事業損益
事業損益の区分には、医療法人が事業として行う活動から生じた収益、費用の額を記載します。医療法人は、行えることのできる業務が法令によって限定されているため(参考 医療法人の業務範囲(厚生労働省))、事業損益の区分に記載される収益、費用は、これらの認められている業務から生じるものに限られます。
事業損益の区分は、さらに本来業務、附帯業務、収益業務の3つに分けられますが、これらの再区分については、別途、第18条において規定されています。また、これらの各業務に附随して行われる業務(附随業務)から生じた収益、費用は、独立に表示されることはなく、その業務が本来業務、附帯業務、収益業務のどれに附随して発生したものかに応じて、それらの業務に係る損益計算のなかに含めて表示します。
経常損益
経常損益の区分には、毎期、経常的に発生する収益、費用で、事業損益に該当しないものを記載します。ある収益、費用が経常的に発生するかどうかは、その金額ではなく、その項目(出来事)が毎期生じても違和感がないものであるかどうかによって判断します。
経常損益の区分に記載される収益、費用は、利息に係る収益、費用が中心となります。株式を保有している場合の配当金や、為替差損益などもこちらに記載します。
当期純損益
当期純損益の区分には、当期中に発生したその他の収益、費用(特別利益・特別損失)、法人の利益をもとに納税額が計算される法人税、住民税および事業税を記載します。
特別利益・特別損失は、事業から生じるものでなく、かつ、経常的に生じるものでもない利益や損失を意味します。具体的には、固定資産の売却等によって生じた利益や損失、災害による損失、寄附金・補助金を受けたことによる利益などがこれに該当します。
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