仮受金の処理

簿記債権債務
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この記事では、仮受金の処理について見ていきます。仮受金は、現金や預金を受け取ったものの、それがどのような理由によるものか分からないときに使用される勘定です。仮受金は、送金元が送金者の名前を書き忘れたであるとか、必要な連絡をする前に振り込みをしてしまったといった状況で発生します。

この記事の内容を理解するために知っておいてほしいこと

仮受金勘定の意義

現金・預金を受け取ったときは、現金・預金の増加を会計帳簿に記録しなければなりません。その際、現金勘定や預金の勘定の相手勘定としては、現金・預金が増加した理由を書くのが普通です。

しかし、現金・預金を受け取った時点では、それが具体的に何に、いくら使われるかが分からないケースがあります。

たとえば、預金口座に振り込みがあったとしましょう。通常は、振り込みをした相手の名称が通帳等に記録されますが、ときどきその記録がないことがあります。ATMからの現金振込では、振込側が自らの名称(氏名・会社名)を正しく入力しないと、間違った名称のまま、振込元不明のまま送金が行われてしまいます。誰から振り込まれたかが分かれば確認のしようもあるのですが、誰から振り込まれたかが分からないときは、その相手からの連絡を待つしかありません。

このような状況のときに、相手からの連絡があるまでの間、それが詳細不明の入金額であることをはっきりとさせておくために、仮受金勘定は使用されます。

現金・預金を受け取ったときの仕訳

現金・預金を受け取ったときは、まず、現金・預金を増加させる記録を行い、その反対側に仮受金勘定の記録を行います。現金勘定も預金の勘定も資産の勘定ですから、これらの金額を増加させるときは借方に記録が行われます。仮受金勘定はその反対側ですから、貸方に記録をすればよいことになります。

【設例1】普通預金口座に50,000円の振り込みがあったが、なぜ振り込みがあったかは不明である。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金50,000仮受金50,000

先に事実として確認できる現金・預金の記録を行ってしまうところがポイントです。入金された理由が不明なのですから、仮受金の方から考えようとしても分からなくなってしまいます。

入金の理由・詳細が分かったときの仕訳

現金・預金を受け取った理由が判明したときは、仮受金勘定の金額を取り崩すとともに、その判明した内容を記録します。仮受金勘定の金額を取り崩すのは、仮受金勘定がもともとなぜ受け取ったか分からない金額を記録する勘定だからです。受け取った理由が判明したのですから、この記録を残しておく必要はありません。

【設例2】【設例1】の普通預金口座への入金額について、得意先から売掛金の振り込みがあったものであることが判明した。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仮受金50,000売掛金50,000

なお、この仕訳では普通預金は出てきません。普通預金勘定の金額は、振り込みがあった時点で増やしていますから、ここでまた普通預金勘定の金額を増やすと記録が二重になってしまいます。あくまでも普通預金を増やすのではなく、仮受金を取り崩します。

この一連の記録の流れを勘定連絡図にまとめると次のようになります。右側の矢印(仮受金→普通預金)が、左側の矢印(売掛金→仮受金)よりも先行するので若干の気持ち悪さはあるかもしれませんが、全体として見れば、売掛金が普通預金口座に振り込まれた記録と変わりはありません。

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仮受金の処理は、仮払金の処理とセットで見ていくと、効率的に学習を進めることができます。細かいことは後から報告を受けるということは、それほど珍しいことではありませんから、お金が入ってきた場合も、出ていった場合も、同じように処理できるようになりましょう。

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