現金過不足の原因が判明したときの処理

現金預金
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現金過不足が生じた原因が判明したときは、(1)その原因となった事項に関する記録を行ったうえで、(2)その金額に相当する金額を現金過不足勘定から取り崩します。

現金過不足の取り崩しにあたって現金過不足勘定に行われる記録は、現金過不足勘定の状況と関係なく、現金過不足が生じた事項の相手勘定として行われます。このため、現金過不足の取り崩しによって現金過不足勘定の残高が減ることになるとは限らず、残高が余計に増えてしまうことも当然に考えられます。

現金過不足の原因となった事項の処理

現金過不足が生じる原因には、大きく分けて、実際有高の方に問題がある場合と、帳簿残高の方に問題がある場合の2つがあります。

現金の実際有高に問題がある場合

まず、現金の実際有高の方に問題がある場合とは、お釣りを渡し間違えた(もらい忘れた)、現金を紛失した、窃盗・盗難の被害にあったなどが考えられます。窃盗・盗難等の被害にあった場合は、調査によってそれらの事件が起こったことに気づくことができる可能性がありますが、お釣りの間違いや紛失に気づくことはほとんど不可能でしょう。

窃盗・盗難等の被害にあった場合は、その金額を盗難損失等の勘定を新たに設けて記録するか、雑損失としたうえで備考欄(小書き)にその詳細を記録しておくかします。

なお、現金が自然発生的に増えることはありませんので、現金の実際有高の方が帳簿残高よりも大きかった場合は、まず、帳簿残高の方に問題があることを疑った方が良いでしょう。

現金の帳簿残高に問題がある場合

次に、現金の帳簿残高の方に問題がある場合です。これには、仕訳をはじめとする会計帳簿への記録を失念していた(していなかった)、現金取引に関する記録(勘定、借方・貸方、金額)が誤っていた、1つの取引を二重・三重に記録していたといったことが考えられます。

このような場合は、行われていなかった記録を行ったり、誤った記録を修正したり、余計に行われた記録を取り消したりといった作業が必要になります。なお、現金勘定の修正は、現金過不足を発見したときにすでに終わっていますから(参考 現金過不足を発見したときの処理)、現金勘定については修正を行う必要はありません

設例

現金過不足が生じた原因について調査したところ、次の事項が判明した。

  1. 従業員に現金20,000円が持ち去られていた。
  2. 通信費5,000円を現金で支払った取引について仕訳を失念していた。
  3. 消耗品費7,700円を現金で支払った取引の仕訳について、誤って借方・貸方ともに7,000円と仕訳していた。
  4. 備品600,000円を購入した際にその代金を小切手を振り出して支払っていたが、その仕訳の際に誤って貸方を現金勘定としていた。
  5. 旅費交通費8,000円を現金で支払った取引について、誤って仕訳を2度行っていた。

1. 窃盗・盗難

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
盗難損失20,000現金過不足20,000

盗難損失を先に記録してから、空いている貸方に現金過不足の記録を行います。

2. 仕訳の失念

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
通信費5,000現金過不足5,000

現金勘定への記録は、現金過不足を発見したときに追わていますから、あとはまだ行われていない通信費勘定への記録を行うだけです。現金過不足は空いている貸方となります。

3. 金額の誤り

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消耗品費700現金過不足700

本来7,700円で記録すべきところを7,000円で記録してしまったのですから、不足する700円を追加することでこの誤りを修正できます。

なお、もともと記録していた金額の方が多かったときは、これとは逆に、記録上の金額を減らさなければならないので、借方・貸方に記録される勘定が入れ替わります。

4. 勘定の誤り

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足600,000当座預金600,000

小切手を振り出したときは当座預金勘定に記録を行わなければなりません。この記録が行われていなかったのですから、仕訳を失念していたときと同じように、行われていなかった記録を追加で行います。

なお、これとは逆に、現金勘定に記録すべきものを記録していなかった場合は、もともとの仕訳で誤って行ってしまった記録(本来、使うべきでなかった勘定の金額)を取り消すための処理が必要になります。

5. 二重の仕訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金過不足8,000旅費交通費8,000

仕訳を二重に行っていた場合は、余計に行われてしまった1回分の記録を取り消す必要があります。旅費交通費勘定は費用の勘定ですから、その記録を取り消すためには貸方にその金額を記録します。

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