税込方式による消費税の処理①(仕入時・売上時)

簿記租税公課
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会計帳簿上、消費税を記録する方法には、税抜方式と税込方式の2つがあります。この記事では、税込方式による記帳の基本について見ていきます。なお、「収益認識に関する会計基準」に準拠して簿記を行う企業は、必ず税抜方式によって会計帳簿に記録を行わなければならないこととされていますが、この基準によらない場合は税込方式による処理を行うことも可能です。

税込方式とは

税込方式とは、取引によってやりとりされた財またはサービスに係る記録を消費税込みの金額で行う方法をいいます。一般的な簿記の学習書では、商品売買取引を例に消費税の処理が説明されますが、消費税がやりとりされる場面はこれだけではありません。商品売買取引以外の取引についても、消費税のやりとりが行われたのであれば、その税込金額をもって会計帳簿上の記録を行う必要があります。

買手側の処理

商品等を購入し、または、サービスの提供を受けた際に、その対価とあわせて消費税を支払ったとき(現金取引等)、または、支払う消費税の額が確定したとき(掛取引等)は、それらの取引を税込金額で記録します。

取引1.(商品等の購入、税抜金額・消費税が別に与えられているケース)

【設例1-1】商品20,000円(税抜)を仕入れ、代金は消費税2,000円とあわせて現金で支払った。

取引の要素

  • 商品22,000円(税込)を仕入れた → 仕入勘定・借方
  • 現金22,000円を支払った → 現金勘定・貸方
* 税込金額:商品の税抜価格20,000円+消費税額2,000円=22,000円

仕 訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入22,000現金22,000

取引2.(サービスの享受、税込金額が与えられているケース)

【設例1-2】電車代660円を現金で支払った。なお、この電車代は消費税10%を含めた税込金額である。

取引の要素

  • 電車代660円(税込)が発生した → 旅費交通費勘定・借方
  • 現金660円を支払った → 現金勘定・貸方

仕 訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
旅費交通費660現金660

売手側の処理

商品等を売却し、または、サービスを提供した際に、その対価とあわせて消費税を受け取ったとき(現金取引等)、または、受け取る消費税の額が確定したとき(掛取引等)は、それらの取引を税込金額で記録します。

取引1.(商品等の売却、税抜金額・消費税が別に与えられているケース)

【設例2-1】商品50,000円(税抜)を売り上げ、代金は消費税5,000円とあわせて現金で受け取った(変動対価・商品を引き渡す以外の履行義務はいずれも無視してよい)。

取引の要素

  • 商品55,000円(税込)を売り上げた → 売上勘定・貸方
  • 現金55,000円を受け取った → 現金勘定・借方
* 税込金額:商品の税抜価格50,000円+消費税額5,000円=55,000円

仕 訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
現金55,000売上55,000

取引2.(サービスの提供、税込金額が与えられているケース)

【設例2-2】事務所として貸し付けている部屋の家賃として330,000円が普通預金口座に振り込まれた。なお、この家賃は消費税10%を含めた税込金額である。

取引の要素

  • 家賃330,000円(税込)が発生した → 受取家賃勘定・貸方
  • 普通預金が330,000円増えた → 普通預金勘定・借方

仕 訳

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金330,000受取家賃330,000

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