遠隔講義(オンライン講義)の開講にあたって

大学での学び
《広告》

2020年度の講義は,当面の間,インターネットを利用した遠隔講義(オンライン講義)の形で行われることになりました。私が所属する和光大学でも,来週,5月14日(木)から講義が始まることになります。

遠隔講義の大変さ

遠隔講義は,教室で行われる講義(対面講義)と比べて,学生のみなさんにかかる負担が圧倒的に大きいものになります。

プライベートモードと勉強モードの切り分けが難しい

対面講義では,教室に入り,講義が始まってしまったら,教室のなかは学びの雰囲気になりますし,その雰囲気にのまれる形で講義に参加していくこともできます。しかし,遠隔講義ではそのようなわけはいきません。学生のみなさんの多くは,自宅で講義を受けることになるかと思いますが,自宅の落ち着いた環境のなかで,意識を講義に向け続けることは大変なことです。学びの雰囲気がなく,さまざまな誘惑もあるなかで,集中力を維持するのは大変です。

より積極的・主体的に参加することが求められる

対面講義では,教室に入り,教員の話を聞いているだけでも話が進んでいきますが,遠隔講義では,みずから資料をダウンロードし,みずからそれを読み進めていかなければなりません。同時双方向型の講義であればこの点は若干緩和されますが,「いつでも画面を閉じてしまえる」という誘惑に耐えて,視聴を続けなければならないという意味では,積極性・主体性が問われることに変わりはありません。インターネットの動画やテレビのチャンネルのように,気分が乗らなければザッピングするというわけにはいかないのです。

一種の強迫観念から自責感・無力感にとらわれる

遠隔講義では,決められたスケジュールにそって資料が配信されていきます。みなさんのこころやからだのバイオリズムとは関係なく送られてきますので(これは仕方のないことですが),調子の上がらないときなどは,「やれ,やれ」と迫られているような感じになることがあります。とくにお休みしてしまってちょっとした「罪悪感」があるときに,次の回の資料が送られてきたり,課題の提出が催促されたりすると,自分で自分を責めてしまいたくなったり,無力感におそわれてしまったりということもあります。

遠隔講義を受けるときのこころがけ

このような遠隔講義の大変さは,ちょっとしたこころがけをすることである程度緩和することができます(残念ながらゼロにはならないと思いますが)。

ルーティンを決める

最近,スポーツの世界でよく聞きますが,平常心を保つために毎回決まったことをする(ルーティン)というものがあります。一種のおまじない(自己暗示)といえるでしょうか。バットを振りかぶってみたり,顔を何回かペチペチと叩いてみたり,お祈りをしてみたりと人によってやりかたはいろいろあります。同じように,勉強に入るときも,何か特別なルーティンを考えて,それをやるようにしてみましょう。背伸びをするでも,コーヒーを飲むでも,ペンを回すでもなんでもいいです。大事なことは,毎回,それをやるということです。気分によって変えてはいけません。

時間割をたてる

普段の私生活のなかで「何時に●●をする,何時に▲▲をする」,といったことを決める人はあまりいないと思いますが,今のように,ほとんど家にいるという状況では,あえてこのような時間割を作って,そのとおりに行動するようにすることが大事です。なお,時間割には,勉強の予定だけでなく,家事や遊びの予定も計画に組み込んでください。勉強だけの時間割なんてつまらないものは,守る気がなくなってしまいますから。自分が作った予定を自分で守るというだけでも,「ちゃんとできた」という成功体験ができます。

淡々とこなす

与えられた課題は,あまり深堀りしようとせずに淡々とこなしていってください。標準的な単位数を履修すると考えると,みなさんにはあまり時間的な余裕がないはずです。ただでさえ通常よりも大変な遠隔講義です。1つの科目に時間と労力を掛けすぎてしまうと,他の科目にも影響が出てきてしまうかもしれません。深堀りするのは余裕があるときでも十分に間に合います。気になるところがあれば,対面講義に戻ったときに質問できるようにメモを残していきましょう。

復習をしっかりと。質問も積極的にする

勉強のつらさは,分かっていること・知っていること(前提知識)の量で決まるところがあります。講義では,毎回内容が積み重ねられていきますから,前の回の知識がしっかり頭に入っていれば分かるようなことであっても,前の回の復習をおろそかにしていると非常に難しく感じてしまいます。しっかりと復習をしましょう。そして,わからないところは積極的に質問しましょう(直接対面で質問するよりは気が楽なのではないでしょうか)。復習は,知識を定着させるというだけでなく,次のハードルを下げるためにも重要です。

この意味で,予習を行うことも講義のハードルを下げるためには有効です。教科書が指示されている講義では,講義の前に教科書を読んでおきましょう。完全に理解はできなくても,講義にあたって,知らない言葉が次々と出てきて参ってしまうといったことはなくなります。

やりたいこと・会いたい人を想う

緊急事態宣言・外出自粛で自由が制限されてしまった結果,逆に,やりたいこと・やりたかったことが思いついてしまったとか,人にあいたくなってしまったというみなさんも多いのではないでしょうか。

きっかけとしては最悪ですが,このような否が応にも自分と向き合わなければならない時間が増えたことによって,普段は気づかないような感情であったり,本心であったりに気づくことができた人も多いと思います。

この自粛期間が終わったら,そのような普段は見えなかったこと,感じなかったことをぜひ実践してみてください。みなさんの新しいページが開かれるはずです。周りに影響されたわけでもなく,自分が思い描いた道を進んでいく。自分の人生を彩っていくのは自分自身です。

今はそれに向けた具体的な行動計画を立ててみるのもいいかもしれません。たとえ暗闇のなかであっても,その先に一筋の光が見えれば前進していけるはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました