省令「医療法人会計基準」の総則部分(第1条~第6条)に係る逐条解説のリンク集です。
総則では、「医療法」第51条第2項適用対象法人(計算書類について公認会計士・監査法人による監査を受け、それらの公告が求められる医療法人)が貸借対照表(これを要約した財産目録を含む)、損益計算書を作成するにあたって(これらの計算書類を作成する基礎となる会計帳簿の作成を含む)、準拠しなければならない基本的な考え方について規定されています。
- 省令「医療法人会計基準」逐条解説①(総則・第1条~第6条) この記事
- 省令「医療法人会計基準」逐条解説②(貸借対照表・第7条~第12条)
- 省令「医療法人会計基準」逐条解説③(貸借対照表・第13条~第16条)
- 省令「医療法人会計基準」逐条解説④(損益計算書・第17条~第21条、注記・第22条)
第1条(医療法人会計の基準)
第1条では、省令「医療法人会計基準」の適用対象について規定されています。
省令「医療法人会計基準」は、「医療法」第51条第2項適用対象法人が計算書類を作成するにあたって準拠しなければならない基準ですが、「医療法」第51条第2項適用対象法人以外の医療法人がこの会計基準に準拠して計算書類を作成することが排除されるわけではありません。規模を大きくしていって将来的には「医療法」第51条第2項適用対象法人になろうとする医療法人、公認会計士監査を受けて、経営の透明性をもって差別化を図っていきたい医療法人などについては、省令「医療法人会計基準」に準拠して計算書類を作成することも選択肢のひとつとなるでしょう。
第2条(会計の原則)
第2条では、医療法人が会計帳簿への記録や計算書類の作成を行うにあたって頭に入れておくべき前提(基本的な考え方)について規定されています。
省令「医療法人会計基準」はあくまでも「原則」であり、個々の取引において、具体的にどのような会計処理を行うかについては各医療法人に任せられています。しかし、まったくの自由に任せていては、医療法人の財政状態や経営状況を適切に捉えることができません。第2条に規定される原則は、適切な会計情報を作成するために「絶対に外してはいけない最低条件」として位置づけられます。
第3条(重要な会計方針の記載)
第3条では、貸借対照表や損益計算書に併記すべき重要な会計方針について規定されています。
現在の簿記では、定額法と定率法(減価償却)、先入先出法と移動平均法(払出単価の計算)といったように、同じ事象を記録するにあたって、異なる方法が認められている場合があります。これらのうち、どの方法を採用したかによって、計算書類に記載される金額は変わってきますから、計算書類の利用者を混乱させないためには、どのような会計処理方法が採用されたか(金額の算定根拠)を、計算書類上の金額とあわせて記載しておく必要があります。
第4条(会計方針の変更に関する記載)
第4条では、会計方針を変更したときにどのような事項を記載すべきかについて規定されています。
第3条のところで触れたように、どのような方法で会計帳簿への記録、計算書類の作成を行ったかによって、金額が変わってしまいます。会計方針を変更したときは、その変更によってどれだけ金額が変わったかをあわせて説明する必要があります。そのようにしないと、前期からの金額の変化が医療法人の財政状態や経営状況の変化によるものか、会計方針を変更したからなのかを、計算書類の利用者が判断できないからです。
第5条(総額表示)
第5条では、総額表示について規定されています。
総額表示とは、事業収益と事業費用、貸付金と借入金といったようにプラスとマイナスの関係にある金額を相殺せず、それぞれ別々に表示する方法のことをいいます。総額表示は、医療法人の活動規模を計算書類の利用者に理解してもらうために必要となります。
第6条(金額の表示の単位)
第6条では、計算書類に記載される金額の単位について規定されています。省令「医療法人会計基準」の適用対象法人に関しては、計算書類上の金額をすべて千円単位で表示しなければなりません。
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