現金出納帳の記録と現金勘定の記録

簿記現金預金
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現金出納帳(げんきんすいとうちょう)は,現金の出入りを記録するための会計帳簿です。

企業はお金を稼ぐために設立・運営されるものですから,現金の状況を管理することは,企業の経営状況を常に把握しておくという意味でも重要です。また,企業は支払うべきお金(借入金,仕入債務,給料など)を支払うことができなくなると倒産します(破産)。とりわけ小規模の企業にとっては,倒産を未然に防ぐという意味でも現金管理の重要性を無視することはできません。

現金出納帳への記録は,簿記の知識がない人にも簡単に行うことができます。税務上も簡易帳簿のひとつとして認められており,正しく記帳が行われていれば,青色申告制度の特典を部分的にではあるものの受けることができます。また,現金出納帳には,複式簿記における記帳方法の基本が詰まっており,現金出納帳について理解することは,今後,簿記の勉強を本格的に学習していこうという人にも役に立ちます。

現金出納帳への記帳方法

現金出納帳の記録は,次のような形で行われます。

現  金  出  納  帳
20XX年摘要収入支出残高
41前月繰越80,000 80,000
 3旅費交通費(○○〜△△,往復) 13,00067,000
 仕入(商品A 100個) 30,00037,000
 4売上(商品A 19個)19,000 56,000
 6売上(商品A 16個)16,000 72,000
 消耗品費(コピー用紙) 5,00067,000
 8売上(商品A 23個)23,000 90,000
 普通預金口座に預け入れ 50,00040,000

残高だけでなく,増加額・減少額の記録も行われる

現金出納帳では,現在,どれだけの現金があるのか(残高)だけではなく,どれだけの現金が増えたのか(収入),どれだけの現金が減ったのか(支出)が記録されます。現時点の状況だけではなく,どのような取引でどれだけの金額が動いたかを記録しておくためです。

現在の残高だけを知りたいのであれば,わざわざ会計帳簿をつける必要はありません。現金の額を知りたければ,わざわざ会計帳簿をつけなくても,手元にある現金を数えればよいのですから。

会計帳簿をつけることの最大のメリットは,その場で確認できないことを記録として残しておけることにあります。いつ,何に,いくら使ったのかという過去の「出来事」は,時間が経つにつれて記憶からどんどんと失われていきます。会計帳簿に記録を残しておけば,記憶は失われても何があったのかをいつでも振り返ることができます。

この意味では,入金額・出金額の記録の方がむしろ現金出納帳のメインとなる記録といってもよいでしょう。

現金出納帳では,収入・支出は別の行に分けて記録される

現金の増加額(収入)と現金の減少額(支出)は,それぞれ別の行に記録されていきます。これは,会計帳簿の大きな特徴のひとつです。プラス記号(+)とマイナス記号(−)で増加・減少を表す方法もありますが,取引ごとに金額に大小があり,桁数もさまざまに変わってしまう会計の世界では(何十億円という飛行機を売買している企業であっても,その内部では数百円のボールペンも使用されますが),たった1文字で,しかも似たような形の記号で増加と減少を区別するというのは,間違いが非常に起こりやすくなります。

増加と減少を分けておくことは,集計にあたっても便利です。現金のように出入りが激しいものについては,増加と減少が入り乱れます。足し算と引き算がランダムに混ざっている状態のものを間違いなく集計していくには集中力が必要です。一方,増加額を記入する欄と減少額を記入する欄が分けられていれば,さきに①増加額の合計額,②減少額の合計額を計算したうえで(どちらも足し算だけで計算できます),③増加額の合計額(①)から,減少額の合計額(②)を引けば現在の金額(残高)を計算することができます。

2つ目の利点については,コンピュータ会計が主流となった今日ではあまり意識する必要はないかもしれませんが,1つ目の視認性が高い(パット見で分かる)という点は,現在もなお価値のある特徴といえるでしょう。

増減の理由が記入される

現金出納帳は,現金の出入りが記録される会計帳簿ですが,単に現金がいくら増えた,いくら減ったというだけではなく,その理由も摘要欄に記録されます。さきほど述べたように,何が起こったかをあとから確認できるようにするというねらいがあるためです。振り返りのときに必要となる情報をはじめから記録に残しておこうというのが基本的な考え方になります。

複式簿記のもとで作成される現金勘定との関係

冒頭で,現金出納帳には複式簿記における記帳方法の基本が詰まっているといいましたが,最後に,それが実際にどのようなものかを見ておきましょう。次のものは,複式簿記において総勘定元帳という会計帳簿に行われる現金の動きについての記録になります(残高式による記帳)。

現          金
20XX年摘要仕丁借方貸方借/貸残高
41前月繰越80,000 80,000
 3旅費交通費2 13,00067,000
 仕入 30,00037,000
 4売上19,000 56,000
 6売上16,000 72,000
 消耗品費 5,00067,000
 8売上323,000 90,000
 普通預金 50,00040,000

摘要欄の記録が簡素なものになっていたり,収入・支出という言葉が借方・貸方という言葉に変わっていたり,仕丁・借/貸という新しい記入欄が増えていたりと,細かいところではいくつか違いがありますが,基本的構造は現金出納帳と同じになっていることが分かるでしょう。

現金出納帳への記録(記帳)の仕組みが理解できていれば,複式簿記において行われる現金以外のものについての記録も理解がしやすくなります。現金出納帳自体は,簿記の知識がなくても作成できるものですから,複式簿記における記帳の仕組みを理解するための最初のステップとして,これほど有用なものはないといえるでしょう。

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