返済方法の違いによって支払総額は大きく変わる(単利と複利、元本均等払いと元利均等払い)

簿記債権債務
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お金の貸し借りを行ったときは、通常、その貸し借りが行われている期間に応じて利息が発生します。このお金の貸し借りにともなって発生した利息がどのように支払われていくかについては、貸手と借手の間で結ばれる契約によってさまざまです。この記事では、お金の貸し借りにともなって発生する利息の支払い方法について、①返済時元利一括払い、②返済時までは利息のみを支払っていく方法、③元本均等払い、④元利均等払いの4つのケースに分けて説明していきます。

返済時元利一括払い

まず、返済時に借り入れた金額と、その借入期間中に生じた利息を一括して支払うケースです。この場合は、利息が単利によって計算されるか、複利によって計算されるかによって、支払うべき利息の金額が変わります。

単利の場合

単利とは、1年ごとに元本に年利率を掛けて、その年分の利息を計算する方法です。この方法では、元本の額が変わらない限り、毎年、同じ金額の利息が計上されます。

たとえば、500,000円を5年間、年利率5%(単利)の条件で借り入れたとしましょう。この場合、企業が返済時に支払うべき金額は、次のように625,000円(元本500,000円+5年分の利息125,000円)と計算されます。

 期首元本当期分の利息支払額残高
 ②=①×5%  
1年目500,00025,0000525,000
2年目500,00025,0000550,000
3年目500,00025,0000575,000
4年目500,00025,0000600,000
5年目500,00025,000△625,0000

複利の場合

複利とは、1年ごとに元本と利息の合計額を新たな元本の額とみなして、これに年利率を掛けることでその年分の利息を計算する方法です。単利の場合とは違い、利息の分だけ年利率に掛ける元本の額が増えていくので、利息の額も年々大きくなっていきます。

さきほどと同じように500,000円を5年間借り入れることにして、今度は複利で返済時に支払う金額を計算してみると、次のように638,141円となります。

 期首元本当期分の利息支払額残高
 ②=①×5%  
1年目500,00025,0000525,000
2年目525,00026,2500551,250
3年目551,25027,5630578,813
4年目578,81328,9400607,753
5年目607,75330,308△638,1410

返済日までは利息のみを支払う場合

返済時までの間は、各年の利息だけを支払っておき、最後の年に元本と最終年の利息をまとめて支払う場合は、単利で利息を計算したときと支払総額が同じになります(625,000円」)。毎年利息を支払っているので、仮に利息を複利で計算していたとしても、元本は増えませんから、単利と同じ結果になるわけです。

 期首元本当期分の利息支払額残高
 ②=①×5%  
1年目500,00025,000△25,000500,000
2年目500,00025,000△25,000500,000
3年目500,00025,000△25,000500,000
4年目500,00025,000△25,000500,000
5年目500,00025,000△525,0000
  支払額合計△625,000 

元本を均等額ずつ返済していく場合(元本均等払い)

利息は元本の額に年利率を掛けることによって求められますから、資金に余裕がある場合は、返済日前に少しずつでも元本を返済していった方が、トータルで支払う利息の額を小さくすることができます。

元本均等返済とは,各年の利息とともに、元本についても毎期一定額ずつ返済していく方法です。残りの元本の額が減少していくにつれて、支払うべき金額も少なくなって言います。残りの元本が多く残っている前半ほど利息の額が多く,残りの元本が少なくなった後半ほど利息の額が小さくなっていくため,企業の支払額ははじめの方ほど大きく,後の方ほど小さくなっていきます。

さきほどの例について、毎年の利息の支払いに加えて、元本を100,000円(500,000円÷5年)ずつ返済していくとしましょう。この場合の支払額は、次のようになります。各期の支払額は増えますが、トータルで支払う金額は575,000円と少なくなります。

 期首元本当期分の利息支払額残高
 ②=①×5%  
1年目500,00025,000△125,000400,000
2年目400,00020,000△120,000300,000
3年目300,00015,000△115,000200,000
4年目200,00010,000△110,000100,000
5年目100,0005,000△105,0000
  支払額合計△575,000 

元本と利息をあわせて毎期一定額ずつ支払っていく場合(元利均等払い)

元本均等返済では、支払う金額がはじめは大きく、その後、年々少なくなっていきますが、利息と元本をあわせた金額を毎期均等額とする方法もあります。これを元利均等返済といいます。

元本の額が大きいほど利息の額も大きくなりますので、元本がたくさん残っているはじめのうちは、支払額の多くを利息が占めることになります。それだけ元本均等返済のときよりも元本の返済が遅くなりますので、トータルの返済額は元本均等払いの場合よりも増えてしまいます。

さきほどと同じ例でシミュレーションしてみると、トータルの支払額は577,437円となります(最終年は端数調整のため他の期間と支払額が異なります)。

 期首元本利息支払額元本返済額支払額
 ②=①×5%④=②+③
1年目500,00025,00090,487△115,487
2年目409,51320,47695,011△115,487
3年目314,50215,72599,762△115,487
4年目214,74010,737104,750△115,487
5年目109,9905,499109,990△115,489
   支払額合計△577,437

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