郵便切手・収入印紙の処理

簿記事業用資産収益・費用決算整理
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郵便切手・収入印紙については,その購入時に費用の勘定である通信費勘定・租税公課勘定に記録を行っておき,決算にあたって未使用分を資産の勘定である貯蔵品に振り替えるという形で仕訳を行っていきます。購入時に費用の勘定で記録を行ってしまうのは,商品売買取引の処理方法のひとつである三分法と同じように,期中の仕訳を簡便に済ませてしまうためです。

郵便切手・収入印紙とは

郵便切手

郵便切手は,郵便料金をすでに支払っている(支払済である)ことを証明するために使用されるものです(証書)。郵便料金は,郵便物を送るときに発生するものですから,郵便サービスを利用するときに支払うというのが本来の筋になります。しかし,郵便料金については,一種の「前払い」が認められています。それが郵便切手の購入です。郵便切手を購入していれば(郵便料金を前払いしていれば),わざわざ窓口が空いているときに郵便局に行かなくても,ポストに投函するだけで郵便物を届けてもらえます。それは,郵便物に貼り付けた郵便切手が,その郵便物を取り扱う人(郵便局の人)に対して,「この人はもう郵便料金を支払っているよ」ということを教えてくれるからです。

郵便サービスには具体的にどのようなものがあり,それぞれどのような料金になっているかは,日本郵便のサイトを確認してください。郵便切手は手紙やはがきにしか使えないようなイメージもあるかもしれませんが,小包を送るときなどにも使用することができます。

料金を計算する - 日本郵便
国内宛ての手紙・はがき・ゆうパック等または海外宛ての郵便・EMS等の料金を計算できます。

収入印紙

収入印紙は,印紙税という税金をすでに支払っている(支払済である)ことを証明するために使用されるものです(証書)。企業は,契約書や領収書など法令に定められた課税文書を発行するときに印紙税という税金を納めなければなりません。したがって,本来は,課税文書を作成するときに税務署に行くのが筋になるのですが,契約を結んだり,領収書を発行したりするたびに税務署に行くのは面倒です。そこで,この印紙税についても,郵便切手のときと同じように,収入印紙を事前に購入させておくことで(前払い),いつでも課税文書を発行できるようになっています。

どのような文書が課税文書に該当し,それらに対していくらの印紙税を納めなければならないかについては,国税庁が開示している情報を確認してください(市販のポケット手帳などに付録としてつけられていることもあります)。

No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで|国税庁

(期中)郵便切手・収入印紙を購入したときの処理

郵便切手・収入印紙は,ともに郵便料金・印紙税を前払いしたときに発生するものですから,本来であれば,前払費用勘定などの資産の勘定で処理すべきものと考えられます。しかし,郵便切手・収入印紙については,その購入時に費用の勘定で処理してしまうことが一般的です。これは,郵便切手・収入印紙は,通常,購入したら早いうちに使ってしまうものだからです。多くの場合,財務諸表は1年に1度しか作成されないものですから,期中に購入した郵便切手・収入印紙のうち,財務諸表を作成するタイミングで資産として残っているもの(まだ使用されていないもの)はほとんどありません。そこで,はじめから資産の勘定を使用せずに,費用の勘定を使って記録してしまうのです。

これは,商品売買取引の処理方法のひとつである三分法において,購入した商品を資産の勘定ではなく,はじめから費用の勘定である仕入勘定に記録してしまうのと同じです。

郵便切手・収入印紙を購入したときに使用する費用の勘定は,郵便切手を購入した場合は通信費勘定,収入印紙を購入した場合は租税公課勘定になります。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
通信費8,400現金8,400
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
租税公課20,000現金20,000

(期末)未使用の郵便切手・収入印紙に係る調整

決算整理仕訳

決算にあたり,未使用の郵便切手・収入印紙がある場合には,これらに対応する金額を費用の勘定(通信費・租税公課)から取り除く必要があります。まだ使っていないもの(郵便料金・印紙税)を費用の勘定においておくのはおかしいからです。

未使用の郵便切手・収入印紙の金額は,資産の勘定である貯蔵品勘定に振り替えます。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
貯蔵品840通信費840
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
貯蔵品4,000租税公課4,000

当期の費用の額

これらの仕訳を行った後の通信費勘定・租税公課勘定の残高が,当期の費用の額(当期中に郵送した郵便物などににかかった料金,当期中に作成した課税文書に対して課される印紙税の額)となります。

通  信  費 
購入額8,400貯蔵品840→貸借対照表・資産
  損益7,560→損益計算書・費用
租 税 公 課 
購入額20,000貯蔵品4,000→貸借対照表・資産
  損益16,000→損益計算書・費用

(翌期首)貯蔵品勘定の金額を振り戻す

決算時に貯蔵品勘定に振り替えた金額は,翌期首付けでもとの通信費勘定・租税公課勘定に振り戻します。貯蔵品勘定への振替は,財務諸表を作成するために行ったのですから,財務諸表が作成できたら元の状態に戻すのです。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
通信費840貯蔵品840
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
租税公課4,000貯蔵品4,000

ちなみに,「未使用の郵便切手・収入印紙については貯蔵品勘定を使用する」と説明されるようになったのは,2019年に行われた日商簿記検定の試験範囲改定の影響によるもので,なぜこのような形になったのかは私には分かりません。貯蔵品勘定は,使用が終わり,売却を待つだけの状態になった有形固定資産を記録するための勘定として使用されていた勘定です。郵便切手・収入印紙は,郵便切手・印紙税という費用の前払額を証明するものですから,個人的には,前払費用勘定で処理すべきものであろると考えています。

ただ,日商簿記検定では,同じ2019年改定において,従来の「費用の繰延べ」という言葉に代えて,「前払費用の計上」という言葉を使うこととしました。前払費用勘定を「契約期間と会計期間のズレを表すもの(従来の意味での費用の繰延べ)として扱うことにした」ということであれば,このような期間のズレに起因しない未使用の郵便切手・収入印紙を前払費用勘定で使うことはできなくなります。未使用の郵便切手・収入印紙について貯蔵品勘定を使用することにした背景には,もしかするとそのような他の改定箇所との関係ということもあるのかもしれません。

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