この記事では、消耗品を購入したとき、消費したときの処理について見ていきます。消耗品とは、ボールペン、トナー、コピー用紙、ティッシュペーパーのように、安価で短期間のうちに消費されてしまうもののことをいいます。
消耗品は、企業が使用するために保有される資産であり、この意味では有形固定資産と同じです。しかし、有形固定資産とは違い、短期間のうちに使用されてしまうので、消耗品については、減価償却は行わずに、それを消費したときに取得原価の全額を費用として処理するという方法がとられます。
消耗品を購入したときの処理
消耗品を購入したときは、その取得原価を消耗品勘定に計上します。消耗品は、今後の活動に使用される財産ですから、これが記録される消耗品勘定は資産の勘定です。消耗品の取得原価とは、購入した消耗品自体の価格(購入代価)に、引取運賃等の付随費用を加えた金額です。
【設例1】インターネット商店でボールペン(1本あたり100円)を500本購入した。代金は配送料200円とあわせて普通預金口座から引き落とされた。
この場合、ボールペンの取得価額は、ボールペンの代金(100円×500本=50,000円)に、配送料200円を加えた50,200円となります。この金額を消耗品勘定に計上します。消耗品勘定は資産の勘定ですから、その記録は借方に行います。一方、貸方には、減少した普通預金の額を計上します。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
消耗品 | 50,200 | 普通預金 | 50,200 |
消耗品を消費したときの処理
消耗品を消費したときは、その消費額を消耗品勘定から取り崩し、消耗品費勘定に振り替えます。消耗品費勘定は、消費してしまった(企業からなくなってしまった)消耗品の額を記録しておく費用の勘定です。
消耗品勘定には、消耗品を購入したときに付随費用を含めた取得原価で記録が行われていますので、これを取り崩すときも、取得原価ベースの金額でなければなりません。このため、消耗品を消費したときは、仕訳に先立って、消費した消耗品の取得原価を計算する必要があります。
【設例2】【設例1】で購入したボールペンのうち150本を消費した。
【設例1】では500本のボールペンを購入し、その取得原価は50,200円でした。この2つの数字からボールペン1本あたりの取得原価を求めると、その金額は100.4円(=50,200円÷500本)となります。したがって、消費した150本分の取得原価は15,060円(=100.4円×150本)となります。
ボールペンの代金が1本あたり100円だからといって、この100円を使って100円×150本=15,000円としてしまうのは誤りですので注意してください。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 15,060 | 消耗品 | 15,060 |
消耗品勘定と消耗品費勘定の関係
以上の消耗品勘定と消耗品費勘定の関係を勘定連絡図の形にまとめると、次のようになります。消耗品を購入したときにその金額が消耗品勘定に計上され、消耗品を使用したときにその金額が消耗品費勘定にふりかえられていきます。

消耗品勘定の借方と貸方の差額(残高)は、消耗品の未使用額を表します。今回の一連の設例でいえば、購入額50,200円から消費額15,060円を差し引いた35,140円がボールペンの未使用額(=100.4円×350本)ということになります。
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以上が、消耗品に関する原則的な処理となりますが、この方法には欠点があります。この方法では、消耗品を使用するつど消耗品勘定から消耗品費勘定にその取得原価を振り替えなければなりません。したがって、正しく会計処理を行うためには、常に消耗品の使用状況をチェックしている必要があります。消耗品は企業のいたるところで使用されており、そのすべてを常にチェックし続けるというのは、現実問題としてかなり難しいものがあります。そこで、消耗品については、この原則的な処理に代わる簡便な処理を行うことも認められています。この簡便な処理については、別の記事で説明していますので、そちらを参照してください。
- 消耗品の処理①(原則的な方法) この記事
- 消耗品の処理②(簡便な方法)
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