減価償却の意義

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この記事では、減価償却について説明していきます。減価償却は、決算手続のひとつで、複数の会計期間にわたって使用される資産(建物、備品、車両運搬具など)の取得原価を、その使用される期間にわたって、少しずつ費用として計上していくことをいいます。

現在の簿記では、企業の活動期間を一定期間ごとに区切って、その期間(会計期間)ごとに利益の額を計算する期間損益計算を行うことが前提となっています。会計期間の長さは、通常、1年間です。しかし、企業が使用する資産のなかには、1年を超えて使用されるものがあります。このような資産についてかかった費用はどのような形で期間損益計算に織り込んでいけばいいのでしょうか。減価償却は、その答えとなるものです。

この記事の内容を理解するために知っておいてほしいこと

減価償却とは何か

減価償却とは、複数の会計期間にわたって使用される資産の取得原価を、その資産が使用される期間にわたって、少しずつ費用として計上していく手続をいいます。

すべての企業はお金を稼ぐために活動をしています。しかし、今日の簿記が前提とする期間損益計算では、お金の動きではなく、費用(純資産を減少させる原因)が発生したタイミングをもって、その金額をその会計期間の費用として認識することとしています。

それでは、このような複数の会計期間にわたって使用される資産について、「費用が発生したタイミング」とはどのようなタイミングのことをいうのでしょうか。

まず、資産を購入したときですが、これは費用が発生したタイミングではありません。資産の購入には対価の支払いが必要となりますが、その対価の代わりに資産を手に入れていますから、トータルで考えればプラスマイナスゼロです(純資産の増減はありません)。

次に、資産を手放したしたときですが、これも費用が発生したタイミングにはなりません。資産を手放すことで純資産は減少します。しかし、期間損益計算において重要なのは、純資産が減少する「原因」が発生したタイミングです。それでは、企業が保有している資産を廃棄することになる原因とは何でしょうか。

その答えは、その資産を使用したときです。使用を通じて、資産は少しずつ傷んでいき、動きも悪くなってきます。これがまさに最終的にその資産を手放す(=純資産が減少する)原因となることがらです。

減価償却の対象となる資産

減価償却は、土地以外の有形固定資産を対象として行われます。有形固定資産とは、物理的な実体のある(有形)、1年を超えて使用される(固定)、資産のことをいいます。具体的には、建物、備品、車両運搬具などがあります。

土地が減価償却の対象から除外されるのは、土地は無限に使用できるものと考えられるからです。非常に長い期間を考えれば、地殻変動が起こったり、川などによる浸食を受けたり、いきなり陥没したりといったことがあるかもしれません。しかし、このような確実に予測できないことを期間損益計算に織り込んでしまうと、企業の業績を客観的に把握することができなくなってしまいます。

なお、特許権や商標権のような物理的な実体のない資産(無形固定資産)についても、減価償却と同じような方法で取得原価を各会計期間に分けて費用計上していきますが、会計理論上、無形資産の場合は、減価償却ではなく、単に償却といいます。

なお、税法上、有形固定資産の場合と、無形固定資産の場合とは区別されません。どちらも減価償却という名前で処理が行われていきます。会計理論では、特許権や商標権のような権利は権利保護期間がだんだん短くなっていくだけで、有形固定資産のように価値が減っていく(減価)ものではないというところから「減価」という言葉を使っていませんが、税法では、利益計算のみに関心があるため、このような違いは無視されています。

減価償却費の計算

有形固定資産の取得原価のうち、各期の費用として配分される金額のことを減価償却費といいます。減価償却という手続によって配分された費用という意味です。

それでは、この減価償却費の額はどのように決めたらよいのでしょうか。有形固定資産については、多少使ったところで見た目もほとんど変わりませんし、どれだけの価値が減少したかを客観的に測定することもできません。「鑑定士」ですら、誰にお願いするかで違った金額(評価額)を出してくるくらいです。

そこで、減価償却では、事前に定めた計算式を使って各期の減価償却費の額を計算していくのが基本となります。減価償却費の計算方法にはさまざまなものがありますが、そのなかでも定額法定率法の2つの方法が最もよく使用されています。これらはいずれも有形固定資産を使用した期間をもとに減価償却費の額を計算していく方法ですが、各期の使用量に応じて減価償却の額を計算する生産高比例法といった方法もあります。

それぞれの計算方法については別の記事にまとめていますので、それらの記事を参照してください。

減価償却の仕訳

減価償却費の額が計算できたら、その金額を使って仕訳を行います。減価償却費の仕訳には、直接法と間接法の2つの方法があります。こちらについても別の記事に詳細をまとめていますので参照してください。


減価償却は、商品売買のように、具体的なものやお金の動きがない状態で行われる抽象的な手続ですので、なかなか具体的なイメージがつきにくいかもしれません。また、減価償却費の計算方法にも仕訳の方法にも複数のものがあり、頭のなかでしっかりと情報を整理しておかないと混乱してしまうことでしょう。まずは減価償却費の計算をする、次に仕訳の方法を考えるといったように、1つ1つのステップをしっかりと分けて考えて、自分で混乱してしまわないように気をつけましょう。

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