簿記の考え方

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消費税の処理を税抜方式で行っている場合、仕入割引の仕訳はどのようにしたらよいのだろうか

仕入割引とは、商品等を仕入れた側の企業(買手)が買掛金等の仕入債務を通常の支払期日よりも前に弁済する場合に、その債務の一部について支払いの免除を受けることをいいます。この記事では、消費税の処理を税抜方式で行っている企業において、仕入割引があったときにどのような仕訳が行われるべきかについて考えてみます。金商法会計と税務(消費税法)会計の考え方の違い金商法会計の場合仕入割引によって支払いの免除を受けた金額について、金商法会計では、弁済を前倒しした期間(当初の支払期日~実際の支払日...
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用途が狭く限定された勘定科目は難しい(クレジット売掛金、受取商品券、手形貸付金・手形借入金)

簿記・会計資格試験では、時事ネタというかその時期のトレンドのようなものが採り入れられることも珍しくありません。先日受験した税理士試験でも暗号資産(仮想通貨)の取り扱いが出題されました。日商簿記検定でもこの傾向は見られており、この10年近くの改定項目のなかには、実務で必要とされる実践的なスキルの習得を謳って採択されたものも少なからずあります。タイトルに掲げたクレジット売掛金も2015年の改定によって新たに試験範囲に加わったものになりますが、このようなトレンド追従型の勘定は取り扱...
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履行義務の充足に伴う収益の認識

「収益認識に関する会計基準」では、契約にあたって顧客に約束したこと(履行義務)をいったん契約負債勘定に計上しておき、実際にそれらの履行義務が充足されたときに収益の勘定に順次振り替えていくという2つのステップで収益が認識されていきます。収益の勘定への振り替えは、履行義務が充足されるパターンに応じて2つの方法で行われます。
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消費税に係る金額の計算

簿記検定などの資格試験では、消費税のやりとりが発生する取引の仕訳にあたって、税抜金額、税込金額、消費税額のいずれかしか与えられておらず、残りの金額を自分で計算させるという問題が出題されることがあります。実務では、財産やサービスの提供を受けるとき(購入するとき)は売手から消費税額の記載されたレシート、領収書等を受け取りますし、財産やサービスを提供するとき(販売するとき)はレジなどで計算された消費税額を使ったりといったことが普通ですので、これらの金額を自分で計算しなければならない...
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減価償却の意義

この記事では、減価償却について説明していきます。減価償却は、決算手続のひとつで、複数の会計期間にわたって使用される資産(建物、備品、車両運搬具など)の取得原価を、その使用される期間にわたって、少しずつ費用として計上していくことをいいます。現在の簿記では、企業の活動期間を一定期間ごとに区切って、その期間(会計期間)ごとに利益の額を計算する期間損益計算を行うことが前提となっています。会計期間の長さは、通常、1年間です。しかし、企業が使用する資産のなかには、1年を超えて使用されるも...
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期間損益計算の意義とその特徴

今日の簿記では、企業の活動期間を一定期間ごとに区切って、その区切られたひとつひとつの期間ごとに会計帳簿上の記録をとりまとめ、財務諸表とよばれる報告書を作成することが原則とされています。この人為的に区切られたひとつひとつの期間のことをそれぞれ会計期間といいます。企業活動の成果を表す代表的な金額のひとつに「利益」とよばれるものがあります。みなさんも一度は聞いたことがある言葉でしょう。この利益の額も、会計期間ごとに計算されます。期間損益計算とは、この会計期間ごとに行われる利益の計算...
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決算手続とは何か

決算手続とは、会計期間が終わった後、会計期間中に行われた記録をとりまとめ、一定の修正を行ったうえで、財務諸表とよばれる報告書を作成する一連の手続(作業)のことをいいます。今日の簿記では、企業の活動期間を強制的に一定期間ごとに区切って、その会計期間ごとに企業の財産の状況を取りまとめることになっています。しかし、実際の企業の活動は、簿記の都合を意識せずに行われていますから、会計期間中に行われた記録のなかに将来の会計期間に係るものが含まれていたり、逆に、会計期間中に起こった出来事で...
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試算表の作成(合計金額と残高金額)

この記事では、試算表の作成方法について見ていきます。試算表とは、会計帳簿上で記録が行われているすべての勘定について、勘定ごとに金額を集計し、その結果をひとつの表にまとめたものをいいます。試算表は、会計帳簿に行われている記録の全体像を把握することに役立ちます。試算表には、金額の集計の仕方の違いによって、合計試算表、残高試算表および合計残高試算表の3つのものがあります。企業の取引規模を知りたいときは合計試算表、試算表が作成された時点の状況を知りたいときは残高試算表、これらの情報を...
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転記による記録のとりまとめ

企業における財産の動きは仕訳によって記録されていきますが、仕訳上の記録は、財産の動きが起こった順に行われていくため、「現在、現金はいくらあるのか」「今月の売上は合計いくらか」といった特定の財産や取引の状況について知りたいときには、あまり使い勝手がよくありません。このような特定の財産や取引の状況を知るためには、これらの財産の動きに関する記録が、現金や売上といった特定の項目ごとにまとめられていた方が便利です。この特定の項目ごとに記録をまとめなおす作業(手続)のことを転記といいます...
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仕訳日計表の作成

仕訳日計表とは、1日の間に、どの勘定のどちら側にどれだけの金額が記録されたかをまとめた集計表です。仕訳日計表を作成すると、1日の間にどれだけの取引があったかを把握することができるとともに、完全ではないにせよ、ある程度であれば仕訳に誤りがないかどうかを確認することができます。なお、1日ではなく、1週ごとに記録をまとめた仕訳週計表というものもあります。仕訳週計表についても、これから説明する仕訳日計表と同じように作成することができます。仕訳の金額を勘定科目、借方・貸方ごとに集計する...
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商品有高帳への記入を学ぶには実際に書いてみた方が早いですよ

商品有高帳を効率的に理解するためには、教科書を読むだけではなく、実際に書いてみるということが重要です。教科書を読むだけだと一度に大量の情報が目に入ってしまいますが、実際に書いてみると、それらの大部分は必要がないことに気づくことができます。余計なものが目に入らなくなると、案外、単純な作業だったことに気づけるはずです。
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エクセルのゴールシーク機能を使った債券の実効利子率の計算

満期保有目的債券の期末評価を償却原価法(利息法)で場合は、事前にその債券の実効利子率を求めておく必要があります。実効利子率は、その債券から生じる将来キャッシュ・フローの現在価値がその債券の帳簿価額と等しくなる利子率のことをいいます。この記事ではエクセルを使って、この実効利子率を求める方法を見ていきます。
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端数利息の計算

債券を売買したときは、その債券自体の価格や証券会社に対して支払う手数料のほかに、その債券の以前の保有者が受け取るべき利息(端数利息)の受け渡しが必要になります。端数利息は、その債券について支払われる1年分の利息のうち、直近の利払日の翌日から債券を売買した日までの日数に相当する金額として計算されます。
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総額表示の原則

財務諸表を作成するにあたっての基本原則のひとつとして、総額主義の原則があります。総額表示の原則とは、貸付金と借入金、売上と売上原価のように、相互に対応関係のあるプラスとマイナスの金額について、両者を相殺した金額(純額)ではなく、プラスの金額とマイナスの金額を別々に表示しなければならないとする考え方のことをいいます。
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税法における定率法の考え方(償却率・保証率・改定償却率)

減価償却費の計算は,本来,有形固定資産を使用して活動を行う企業自身が耐用年数,残存価額を見積もって行うことが原則となります。このため,企業がどのように耐用年数,残存価額を見積もったかによって,同じ資産であっても減価償却費として計上される金額は企業によって異なります。企業の業績は,企業がベストと考える前提条件をもとに測定されるということです。しかし,このような企業の自由な意思が認められない場面もあります。そのひとつが税額が計算される場面です。税金は,すべての企業に対して公平に課...
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残高試算表上の記録の流れ②(費用性資産の費消)

すべての勘定の残高を1つの表にまとめた残高試算表をみれば、それぞれの記録がどのように関連しているのかを直感的に把握することができます。この記事では、費用性資産の費用化について取り上げます。資産は、それが失われたときに費用として計上されますが、その計上のパターンは商品と備品や特許権などの固定資産とで異なっています。
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残存価額が変わると公式法による定率法償却率・未償却残高はどのように変わるのか

有形固定資産の減価償却を定率法で行うにあたって,「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によらない場合は,まず,次の計算式によって定率法償却率を求める必要があります。$$ 定率法償却率=1-\sqrt{\frac{残存価額}{取得原価}} $$参考 定率法による減価償却費の計算①(原則的な方法)しかし,残存価額がゼロである場合,または,ゼロではなくとも,その取得原価に比べてその金額が著しく小さい場合,この方法では適切な償却率を求めることができません。適切でない償却率で減価償却...
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個人事業ではビジネス用の財産とプライベートの財産を分ける

個人事業では,ビジネスのために使用される財産と事業主がプライベートで使用する財産とが明確に区別されていないことがあります。自宅に事務所を開いていることもあるでしょうし,プライベートの買い物をするときにお店のレジに入っているお金を持ち出すこともあるでしょう。事業主にとっては,ビジネス用であろうとプレイベート用であろうと,どちらも「自分の財産」であることに変わりませんから,わざわざ両者を区別する必要性を感じることもないでしょう。しかし,簿記の世界では,ビジネス用の財産とプライベー...
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仕訳を行うための3つのステップ

複式簿記では,取引を仕訳という形で記録していきます。仕訳では,すべての取引が次の3つのステップで記録されていきます。取引において,どの財産がどのような理由で増減したかを識別する。増減した財産と,その理由をそれぞれ適切な勘定科目に置き換える。2. を勘定記入の法則にしたがって,それぞれ借方・貸方に振り分ける。どの財産がどのような理由で増減したかまず,簿記上の取引が生じたときに,どの財産がどのような理由で増減したかを識別します。簿記では,企業の財産が増減することを取引といいますか...
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現在価値の計算

簿記では,将来に起こりうるリスクを財務諸表上に適切に反映するために,将来の金額から見積もられた現在価値を使って仕訳をするということがときどき行われます。資産除去債務,退職給付,金融商品に加え,2021年には収益認識においても現在価値の計算が必要になります。現在価値の計算は,日々の取引の仕訳を行ううえでも大切になります。