事業用資産

事業用資産

有形固定資産を廃棄したときの処理

有形固定資産を廃棄したときは、会計帳簿上も、その有形固定資産について行われてきた記録を抹消しなければなりません。具体的には、備品勘定、車両運搬具勘定をはじめとする資産の勘定に計上されている金額と、減価償却累計額勘定に計上されている金額(後者は、減価償却の仕訳を間接法で行っている場合のみ)が、廃棄時に記録を抹消する対象となります。なお、廃棄が会計期間の中途に行われている場合は、廃棄の処理を行うに先立って、当期中にその有形固定資産を使用した期間に対応する減価償却費を計上することも...
簿記

定率法による減価償却費の計算②(税法上の方法)

有形固定資産の減価償却を行うためには、取得したすべての減価償却資産について耐用年数と残存価額を見積もる必要があります。しかし、有形固定資産を何年間使用できるか(耐用年数)、使用後に中古品の売却等を通じてどれだけの金額を回収できるか(残存価額)を、企業が独自に見積もることは非常に大変です。このため、企業のなかには、減価償却にあたって、税法上、各事業年度(会計期間)の損金の額に算入することが認められる上限額(償却限度額)を、そのまま会計上の減価償却費の額としてしまうところも少なく...
簿記

定額法による減価償却費の計算②(税法上の償却限度額)

有形固定資産(土地等を除く。以下同じ)について、毎期、減価償却費として計上される金額は、原則として、企業自身が見積もった残存価額や耐用年数をもとに計算されます。このため、ある有形固定資産について、毎期、どれだけの金額が減価償却費とされるかについては、企業によって異なります。決算にあたり、企業が納付すべき法人税等の額は、企業がそれぞれ行った決算に基づいて計算されることになりますが、このような見積もりをもとに計算される減価償却費については、課税の公平性を図るため、所得計算上、損金...
事業用資産

有形固定資産を売却したときの処理

有形固定資産を売却したときは、有形固定資産を手放すことになるので、会計帳簿上も、その有形固定資産について行われてきた記録を抹消しなければなりません。具体的には、備品勘定、車両運搬具勘定をはじめとする資産の勘定に計上されている金額と、減価償却累計額勘定に計上されている金額(後者は、減価償却の仕訳を間接法で行っている場合のみ)が、売却時に記録を抹消する対象となります。なお、売却したときは、有形固定資産を手放すことによる純資産の減少額と、売却先から受け取る対価の額のどちらが大きいか...
簿記

消耗品の処理②(簡便な処理)

消耗品の処理にあたっては、購入した消耗品は資産の勘定である消耗品勘定に、消費した消耗品は費用の勘定である消耗品費勘定に、といったように消費されたか消費されていないかをしっかりと分けて記録することが理想的です。しかし、消耗品は企業のいたるところで使用されているため、どれだけ消費されているかを把握することは簡単ではありません。このため、今日の簿記では、企業に対して無理に理想を押し付けるのではなく、これに代わる簡便な処理を認めています。これからこの記事で紹介していく簡便な処理が認め...
簿記

消耗品の処理①(原則的な処理)

この記事では、消耗品を購入したとき、消費したときの処理について見ていきます。消耗品とは、ボールペン、トナー、コピー用紙、ティッシュペーパーのように、安価で短期間のうちに消費されてしまうもののことをいいます。消耗品は、企業が使用するために保有される資産であり、この意味では有形固定資産と同じです。しかし、有形固定資産とは違い、短期間のうちに使用されてしまうので、消耗品については、減価償却は行わずに、それを消費したときに取得原価の全額を費用として処理するという方法がとられます。消耗...
事業用資産

定率法による減価償却費の計算

有形固定資産については、決算のタイミングでその会計期間に割り当てるべき費用の額を決定するため、減価償却とよばれる手続が行われます。各期に割り当てるべき金額を計算する方法にはいくつかの方法がありますが、ここでは定率法についてとりあげていきます。定率法とは定率法とは、企業が取得した有形固定資産について、費用として処理されるべき金額の総額(要償却額)を、それが使用されると見込まれる期間(耐用年数)にわたって、毎期、一定の比率で配分していく方法をいいます。要償却額とは、有形固定資産の...
簿記

減価償却の仕訳(直接法と間接法)

決算にあたって行われる減価償却の仕訳の方法には、直接法と間接法の2つがあります。直接法は、各期の減価償却費の額を、建物、備品などの有形固定資産の勘定から直接控除する方法です。これに対して、間接法は、各期の減価償却費の額を、有形固定資産の勘定から直接控除する代わりに、減価償却累計額勘定という特別の勘定に積み上げていく方法です。なお、直接法と間接法は仕訳の方法が異なるだけなので、減価償却費の計算方法や計算結果(減価償却費の額)に違いはありません。両者に違いが出るのは、減価償却累計...
事業用資産

定額法による減価償却費の計算

有形固定資産については、決算のタイミングでその会計期間に割り当てるべき費用の額を決定するため、減価償却とよばれる手続が行われます。各期に割り当てるべき金額を計算する方法にはいくつかの方法がありますが、ここでは定額法についてとりあげていきます。定額法とは定額法とは、企業が取得した有形固定資産について、費用として処理されるべき金額の総額(要償却額)を、それが使用されると見込まれる期間(耐用年数)にわたって、比例的に配分していく方法をいいます。要償却額とは、有形固定資産の取得に要し...
簿記の考え方

減価償却の意義

この記事では、減価償却について説明していきます。減価償却は、決算手続のひとつで、複数の会計期間にわたって使用される資産(建物、備品、車両運搬具など)の取得原価を、その使用される期間にわたって、少しずつ費用として計上していくことをいいます。現在の簿記では、企業の活動期間を一定期間ごとに区切って、その期間(会計期間)ごとに利益の額を計算する期間損益計算を行うことが前提となっています。会計期間の長さは、通常、1年間です。しかし、企業が使用する資産のなかには、1年を超えて使用されるも...
簿記

有形固定資産を取得したときの処理

有形固定資産とは、企業が使用目的で保有する資産で、具体的な形があり、かつ、長期的に(通常、1年を超えて)使用されるものをいいます。この記事では、有形固定資産を取得したときの処理について、代金をその場で支払った場合と、後日支払う場合とに分けて学習します。有形固定資産には、土地、建物、備品、車両運搬具などがありますが、あるものが有形固定資産になるかどうかは、土地、建物、……といったものの名称ではなく、その保有目的によって決まることに注意してください。不動産販売業者が販売目的で保有...
簿記

国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳③(積立金方式の場合)

この記事では、積立金方式によって圧縮記帳を行った場合の処理について見ていきます。積立金方式では、国庫補助金等の額を圧縮積立金として積み立てます(実際の積立額は繰延税金負債を控除した後の金額)。税法上、積立金の積立額・取崩額が各期の損金の額・益金の額に計上されるため、直接減額方式と同様の課税の繰り延べ効果が得られます。
簿記

国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳②(直接減額方式の場合)

この記事では、直接減額方式によって圧縮記帳を行った場合の処理について見ていきます。直接減額方式では、国庫補助金等の額を固定資産の帳簿価額から直接減額します。この減額にともなって計上される圧縮損が国庫補助金等受贈益と相殺されることによって、国庫補助金等を受け取ったときに一時に課税されてしまうことを防ぐことができます。
簿記

国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳①(圧縮記帳の効果)

国庫補助金等を受けて資産を取得した場合は、その国庫補助金等の額にただちに課税をされてしまうことを防ぐために圧縮記帳を行うことが認められます。この記事では、圧縮記帳の方法には、直接減額方式と積立金方式の2つがありますが、どちらを採用した場合も同じように課税の繰り延べが行われることを確認していきます。
簿記の考え方

税法における定率法の考え方(償却率・保証率・改定償却率)

減価償却費の計算は,本来,有形固定資産を使用して活動を行う企業自身が耐用年数,残存価額を見積もって行うことが原則となります。このため,企業がどのように耐用年数,残存価額を見積もったかによって,同じ資産であっても減価償却費として計上される金額は企業によって異なります。企業の業績は,企業がベストと考える前提条件をもとに測定されるということです。しかし,このような企業の自由な意思が認められない場面もあります。そのひとつが税額が計算される場面です。税金は,すべての企業に対して公平に課...
簿記の考え方

残存価額が変わると公式法による定率法償却率・未償却残高はどのように変わるのか

有形固定資産の減価償却を定率法で行うにあたって,「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」によらない場合は,まず,次の計算式によって定率法償却率を求める必要があります。$$ 定率法償却率=1-\sqrt{\frac{残存価額}{取得原価}} $$参考 定率法による減価償却費の計算①(原則的な方法)しかし,残存価額がゼロである場合,または,ゼロではなくとも,その取得原価に比べてその金額が著しく小さい場合,この方法では適切な償却率を求めることができません。適切でない償却率で減価償却...
簿記

有形固定資産を除却したときの処理

有形固定資産は,その耐用年数が経過するまで使用しつづける場合もありますが,耐用年数の経過を待たずに中古品として売却してしまうこともあります。すぐに売却相手が見つかればいいのですが,固定資産の場合は,金額が大きいことや中古品を購入しようとする人がそもそも多くないことから,売却相手がすぐに見つからないことも珍しくありません。このような場合は,売却を予定している資産であることが明確になるように,売却時の仕訳に準じて除却(じょきゃく)とよばれる処理が行われます。有形固定資産を除却する...
簿記

内金・手付金を支払ったときの処理(前払金・建設仮勘定)

他の企業から商品・製品やサービスの提供を受けるにあたり,それらが提供されるまえに対価の全部または一部を内金・手付金として支払うことがあります。この記事では,商品・製品やサービスの提供を受ける前に支払う金額の処理,および,その後に商品・製品やサービスの提供を受けたときの処理について見ていきます。内金・手付金内金内金(うちきん)とは,商品・製品やサービスの提供に先立って,その商品・製品やサービスの対価の一部として支払う金額のことをいいます。内金は商品・製品やサービスの対価の一部で...
簿記

郵便切手・収入印紙の処理

郵便切手・収入印紙については,その購入時に費用の勘定である通信費勘定・租税公課勘定に記録を行っておき,決算にあたって未使用分を資産の勘定である貯蔵品に振り替えるという形で仕訳を行っていきます。購入時に費用の勘定で記録を行ってしまうのは,商品売買取引の処理方法のひとつである三分法と同じように,期中の仕訳を簡便に済ませてしまうためです。郵便切手・収入印紙とは郵便切手郵便切手は,郵便料金をすでに支払っている(支払済である)ことを証明するために使用されるものです(証書)。郵便料金は,...
簿記

有形固定資産の取得価額

有形固定資産の取得価額について、会計上は「引取運賃等の付随費用を含める」程度の定めしかありません。具体的にどの費用を有形固定資産の取得価額に含め、どの費用を有形固定資産の取得価額に含めないかは税法に定めがあります。どの企業にも納税義務がある関係から、有形固定資産の取得価額はこれらの税法上の定めにしたがって定められます。