収益・費用

簿記

一定の期間にわたり充足される履行義務に係る収益の認識(土地・建物の貸付けの場合)

企業の営業活動から生み出される収益は、顧客に対して約束した財またはサービスを提供したとき(履行義務の充足)に認識されます。土地や建物を貸し付けた場合のように、ある程度の期間にわたってサービスの提供が継続されるものについては、そのサービス提供期間が複数の会計期間にまたがってしまうこともあります。今日の簿記では、期間損益計算を行うことが前提となっていますから、このような場合は、収益として計上すべき金額を会計期間ごとに割り当てていくことが必要になります。 この記事では、①地...
簿記

家賃・地代に係る収益の見越し(未収家賃勘定・未収地代勘定を使用する方法)

簿記では、会計期間ごとに利益の額を計算しなければなりません(期間損益計算)。これに対して、企業の活動は会計期間と関係なく行われているため、契約期間が複数の会計期間にまたがってしまうこともあります。このような場合、各期の利益の額を適切に計算するため、契約期間全体の収益の額を各会計期間に配分する必要があります。 この記事では、契約期間が複数の会計期間にまたがる取引の代表例である建物や土地の賃貸取引において、当期中の期間に対応する家賃や地代をまだ受け取っていない場合に、決...
簿記

地代・家賃に係る収益の繰延べ(前受家賃勘定・前受地代勘定を使用する方法)

簿記では、会計期間ごとに利益の額を計算しなければなりません(期間損益計算)。これに対して、企業の活動は会計期間と関係なく行われているため、契約期間が複数の会計期間にまたがってしまうこともあります。このような場合、各期の利益の額を適切に計算するため、契約期間全体の収益の額を各会計期間に配分する必要があります。 この記事では、契約期間が複数の会計期間にまたがる取引の代表例である建物や土地の賃貸取引において、当期中に、次期以降の期間に対応する家賃や地代を受け取ってしまって...
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費用の見越し(未払費用の認識)

費用の見越しは、会計期間中にサービスの提供を受けているにもかかわらず、その対価にあたる金額を支出していないときに、当期分の費用の額を費用の勘定に追加計上する手続のことをいいます。費用の見越しは、当期中の営業活動により稼いだ金額を正しく計算する(期間損益計算)ために必要となる手続のひとつです。 この記事の内容を理解するために知っておいてほしいこと 決算手続とは何か 期間損益計算の意義とその特徴 会計期間中の記録の状況 費用の見越しについて理解する...
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費用の繰延べ(前払費用の認識)

費用の繰り延べとは、会計期間中に支出した費用の額のなかに、次期以降の期間に対応する部分が含まれているときに、その次期以降の期間に対応する部分の金額を当期の費用から取り除く手続のことをいいます。費用の繰り延べは、当期中の営業活動により稼いだ金額を正しく計算する(期間損益計算)ために必要となる手続のひとつです。 この記事の内容を理解するために知っておいてほしいこと 決算手続とは何か 期間損益計算の意義とその特徴 費用の支払いに係る期中の仕訳 費用の...
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給料手当の処理②(所得税・住民税)

従業員に対して給料・手当を支給する場合、社会保険料に加えて、従業員の所得に対して課せられる所得税・住民税を天引きすることが必要となります。所得税も、住民税も、本来であれば、給与所得を得る従業員が自ら申告、納付しなければならないものです。しかし、わが国では、税金の納付漏れを防ぐため、給与所得者については、企業(雇用者)が従業員に対して支給する給料・手当の額からこれらの税額を天引きし、従業員の代わりに申告、納付を行うこととなっています。給料手当から天引きすべき金額の決定従業員に対...
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給料手当の処理①(社会保険料の前納・後納)

従業員に対して給料や各種の手当を支払うにあたっては、その給料・手当の金額から、社会保険料および従業員の所得に対して課される税(所得税・住民税)に相当する金額を天引きする必要があります。この記事では、社会保険料の処理についてみていきます。社会保険料とは、健康保険、介護保険(40歳以上のみ)、年金保険、雇用保険(失業等給付、育児休業給付)および労災保険に係る保険料のことをいい、このうち、労災保険以外の4種の保険料が従業員の給料から天引きされます。ただし、いずれの保険料も労使(雇用...
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経費の支払いに係る取引の記帳

この記事では、経費を支払ったときの処理について見ていきます。経費とは、企業が営業活動をすすめていくうえで支払った費用のことをいいます。経費にはさまざまな種類のものがありますが、あとからどのような目的で支払ったかが分かるように、その目的に応じた名前の勘定を使って仕訳することが必要になります。また、税務上、お金の流れを明確にするために、仕訳に加えて、相手方の名称を記録しておかなければなりません。この記事の内容を理解するために知っておいてほしいこと現金取引の処理普通預金に係る取引の...
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役員賞与の会計処理

この記事では、役員賞与の会計処理を見ていきます。役員賞与は、かつて利益をあげるという成果に対して支給されるものとされてきましたが、今日では、役員として業務にあたるという職務に対して支給されるものという位置づけになっています。このため、会計でも役員賞与については、給与と同じく期間費用として処理することになっています。
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不動産の賃借にともなう会計処理(敷金・礼金・手数料・家賃)

事務所や店舗として使用するため,社宅として使用するために,不動産を借り入れた場合は,月々の家賃を支払うことはもちろんのこと,そのほかにも敷金・礼金・仲介手数料などのさまざまな形での支出が必要となります。この記事では,これらの家賃以外の支出項目の処理も含めた,不動産の賃借にともなって行われる一連の仕訳を見ていきます。敷金敷金(しききん)とは,賃借期間中に賃借人(借手・店子等)側が負担しなければならない金額(家賃,賃借人負担の修繕費等)を賃借人が支払わなかったときの担保として事前...
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交際費等の損金不算入

企業が納める法人税の額は原則として会計上の純損益をもとに計算されますが,課税の公平を図るなどの目的から,一部の項目については会計上の金額が修正されることがあります(「法人税法」第22条)。この記事においてとりあげる交際費等もその修正項目のひとつで,企業が支出した交際費の額は,原則として損金の額には算入されません(「租税特別措置法」第61条の4)。法人税の額は会計上の純損益をもとに計算されますから,費用である交際費等がそのまま損金として認められれば,それだけ純損益の額は減り,こ...
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貸付金の利息に係る収益の繰延べ(収益認識会計基準の例外)

複数の会計期間にまたがって役務の提供を行う取引において,その対価をその契約時等に受け取っている場合には,これまで,いったんその全額を収益の額に計上しておき,期末に次期以降の期間に対応する部分の金額を繰り延べるという作業という処理が行われてきました(収益の繰り延べ)が,このような処理方法は,企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」の施行により,原則として廃止されることになりました。しかし,金融商品に係る取引やリース取引のような金融取引に係るものについては,この「収益認識...
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郵便切手・収入印紙の処理

郵便切手・収入印紙については,その購入時に費用の勘定である通信費勘定・租税公課勘定に記録を行っておき,決算にあたって未使用分を資産の勘定である貯蔵品に振り替えるという形で仕訳を行っていきます。購入時に費用の勘定で記録を行ってしまうのは,商品売買取引の処理方法のひとつである三分法と同じように,期中の仕訳を簡便に済ませてしまうためです。郵便切手・収入印紙とは郵便切手郵便切手は,郵便料金をすでに支払っている(支払済である)ことを証明するために使用されるものです(証書)。郵便料金は,...
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貸付金の利息に係る収益の見越し(収益認識会計基準の例外)

企業が半永久的に存続することを前提とする現在の簿記では,企業の活動期間を強制的に区切って,その区切られた期間ごとに利益計算を行うことが原則となっています(期間損益計算)。 参 考  継続事業の前提と期間損益計算期間損益計算では,複数の会計期間をまたがる事象であっても,それらから生じる収益・費用の額をそれぞれの会計期間に割り当てることが必要になります(たとえば,有形固定資産の減価償却もこの観点から行われる手続のひとつです)。この記事では,複数の期間にわたって収益を生じさせる取引...