収益認識

簿記

売上割引の処理(重要な金融要素を含まない場合)

商品を掛けで売り上げたときに、売掛金の早期の回収を促すため、契約に「掛代金を早く支払った場合は、掛代金の支払いを一部免除する」という条項をつけることがあります。このとき、掛代金(売掛金)が早く支払われたことにより支払いを免除することとなった金額のことを売上割引といいます。 売上割引は、当初の支払期日よりも前に代金を支払ってもらったときに発生するものなので、これは取引先からこの期間お金を貸してもらっている(前借りしている)状況であるともいえます。このため、売上割引は、金...
簿記

商品売買に係る値引の処理(商品の汚損・破損等による場合)

商品の売買が行われた後、その商品に汚損・破損等の問題があったなどの理由で、買手が売手に対して代金の支払いの一部を免除するように要請することがあります。この記事では、このような商品側の問題によって事後的に行われる値引きの処理について見ていきます。 このような場合、簿記では、代金の支払いが免除された部分については商品売買がなかったものとして、商品がやりとりされたときに行われた会計帳簿上の記録を取り消す作業が必要になります。 この記事の内容を理解するために知っておい...
簿記

内金・手付金に係る売手側の処理(契約負債勘定による処理)

商品を販売するに先立って、内金や手付金として、その代金の全部または一部を受け取った場合、その金額は、従来、前受金勘定で処理されていましたが、2021年より全面適用となった「収益認識に関する会計基準」では、内金や手付金を受け取った場合、その金額を契約資産勘定を使って処理することとされています。この記事では、この新しい会計基準による処理について、従来の方法との違いとあわせて説明していきます。 日本商工会議所主催簿記検定3級では、「収益認識に関する会計基準」の方法によらず...
簿記

売上返品(売上戻り)の処理(品違いによる返品の場合)

商品を販売するにあたって、顧客に対して一定の条件(一週間以内、レシート持参など)のもとで販売した商品の返品を認めることがあります。「収益認識に関する会計基準」では、このような場合に、販売した商品が返品される可能性を事前に見積もったうえで、仕訳上の金額に反映させることが原則とされています。しかし、品違いのような単なる顧客側のミスを原因とする返品については、企業側で事前に合理的な見積もりを行うことができません。そこで、このようなケースでは、商品の販売時には原則として商品の引き渡し...
簿記

一定の期間にわたり充足される履行義務に係る収益の認識(見越し・繰延べによる方法と「収益認識に関する会計基準」による方法の比較)

一定期間にわたってサービスを提供する場合、そのサービスの提供から生じる収益の認識については、対価を受け取ったタイミング(簿記上の取引があったタイミング)で収益を認識し、決算のタイミングで見越し・繰延べの処理を行うことで、これを当期分の金額に修正するという会計処理が採用されてきました。2021年4月1日から全面適用となった「収益認識に関する会計基準」では、このようなこれまでの会計処理とは異なる、新しい会計処理の方法が採用されています。この記事では、一定の期間にわたり充足される履...
簿記の考え方

履行義務の充足に伴う収益の認識

「収益認識に関する会計基準」では、契約にあたって顧客に約束したこと(履行義務)をいったん契約負債勘定に計上しておき、実際にそれらの履行義務が充足されたときに収益の勘定に順次振り替えていくという2つのステップで収益が認識されていきます。収益の勘定への振り替えは、履行義務が充足されるパターンに応じて2つの方法で行われます。