医療法人会計

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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第18条 損益計算書の区分

省令「医療法人会計基準」第18条では、損益計算書の基本的な区分について規定されています。なお、事業損益については、第18条においてさらに細かな区分が規定されていますから、そちらもあわせて参照してください。第18条 損益計算書は、事業損益、経常損益及び当期純損益に区分するものとする。様式第二号と第18条の区分との関係損益計算書は、事業損益、経常損益および当期純損益の3つに区分します。各区分は、利益の名前で規定されていますが、いずれもそれらの利益を計算するために必要な要素(収益や...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第17条 損益計算書の表示

省令「医療法人会計基準」第17条では、損益計算書の表示に関する基本原則について規定されています。第17条 損益計算書は、当該会計年度に属する全ての収益及び費用の内容を明瞭に表示しなければならない。2 損益計算書は、様式第二号により記載するものとする。損益計算書が表示するもの(第1項)損益計算書の構成要素損益計算書には、収益および費用の内容が表示されます。企業会計では、この収益および費用の内容のことを一般に経営成績といいます。これは、企業が利益(収益から費用を差し引いた残額)を...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第15条 積立金

省令「医療法人会計基準」第15条では、貸借対照表の純資産の部に記載される積立金の額について規定されています。第15条 積立金には、当該会計年度以前の損益を積み立てた純資産の金額を計上するものとする。2 積立金は、設立等積立金、代替基金及び繰越利益積立金その他積立金の性質を示す適当な名称を付した科目をもって計上しなければならない。積立金とは積立金とは、医療法人の純資産(資産の総額から負債の総額を差し引いた金額)のうち、出資金(第13条)、基金(第14条)、評価・換算差額(第16...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第14条 基金

省令「医療法人会計基準」第14条では、貸借対照表の純資産の部に記載される基金の額について規定されています。第14条 基金には、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第30条の37の規定に基づく基金(同令第30条の38の規定に基づき返還された金額を除く。)の金額を計上するものとする。純資産純資産とは、資産の部に記載した金額の合計額から負債の部に記載した金額の合計額を差し引いた残額をいいます。資産は法人が将来の営業活動に使える財産(金銭、物、権利等)を、負債は法人が将来の営...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第13条 出資金

省令「医療法人会計基準」第13条では、貸借対照表の純資産の部に記載される出資金の額について規定されています。第13条 出資金には、持分の定めのある医療法人に社員その他法人の出資者が出資した金額を計上するものとする。純資産純資産とは、資産の部に記載した金額の合計額から負債の部に記載した金額の合計額を差し引いた残額をいいます。資産は法人が将来の営業活動に使える財産(金銭、物、権利等)を、負債は法人が将来の営業活動のなかで何らかの形で弁済すべき金額を意味するため、その差額として計算...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第12条 金銭債権の評価

省令「医療法人会計基準」第12条では、貸借対照表に記載される金銭債権の価額(貸借対照表価額)について規定されています。第12条 未収金及び貸付金その他の金銭債権については、徴収不能のおそれがある場合には、貸倒引当金として当該徴収不能の見込額を控除するものとする。2 前項の場合にあっては、取得価額から貸倒引当金を控除した金額を貸借対照表価額とする。金銭債権の評価の考え方金銭債権とは、当期以前の契約等に基づいて成立した、将来に金銭を受け取ることができる権利のことをいいます。将来に...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第11条 有価証券の評価

省令「医療法人会計基準」第11条では、貸借対照表に記載される有価証券の価額(貸借対照表価額)について規定されています。第11条 市場価格のある有価証券(満期まで所有する意図をもって保有する債券(満期まで所有する意図をもって取得したものに限る。)を除く。)については、時価をもって貸借対照表価額とする。医療法人が保有する有価証券の範囲有価証券とは有価証券とは、所有者としての地位や一定の財産を受取る権利を第三者との間で取引(売買)できるようにするために、それらの権利を表象した紙片(...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第10条 固定資産の評価

省令「医療法人会計基準」第10条では、貸借対照表に記載される固定資産の価額(貸借対照表価額)について規定されています。第10条 固定資産(有形固定資産及び無形固定資産に限る。)については、次項及び第3項の場合を除き、その取得価額から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。2 固定資産(次条に規定する有価証券及び第12条第1項に規定する金銭債権を除く。)については、資産の時価が著しく低くなった場合には、回復の見込みがあると認められるときを除き、時価をもって貸借...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第9条 資産の評価原則

省令「医療法人会計基準」第9条では、貸借対照表に記載される資産の価額(貸借対照表価額)について規定されています。第9条 資産については、その取得価額をもって貸借対照表価額としなければならない。ただし、当該資産の取得のために通常要する価額と比較して著しく低い価額で取得した資産又は受贈その他の方法によって取得した資産については、取得時における当該資産の取得のために通常要する価額をもって貸借対照表価額とする。取得価額による記載取得価額主義すべての資産は、原則として、その取得価額によ...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第8条 貸借対照表の区分

省令「医療法人会計基準」第8条では、貸借対照表に設けるべき表示項目の区分について規定されています。第8条 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産の部に区分し、更に、資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に、純資産の部を出資金、基金、積立金及び評価・換算差額等に区分するものとする。資産、負債、純資産を分けて表示貸借対照表は、会計年度の末日における資産、負債、純資産の状況を表示するものですが(第7条 貸借対照表の表示)、これらが区分されず、ごちゃごち...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第7条 貸借対照表の表示

省令「医療法人会計基準」第7条では、貸借対照表の表示に関する基本原則について規定されています。第7条 貸借対照表は、会計年度の末日における全ての資産、負債及び純資産の状況を明瞭に表示しなければならない。2 貸借対照表は、様式第一号により記載するものとする。貸借対照表が表示するもの(第1項)貸借対照表の構成要素貸借対照表には、資産、負債および純資産の状況が表示されます。この資産、負債および純資産の状況のことを一般に財政状態といいます。「財政」という言葉が使われていますが、財政状...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第6条 金額の表示の単位

省令「医療法人会計基準」第6条では、貸借対照表、損益計算書などの計算書類に記載される金額の単位について規定しています。第6条 貸借対照表等に係る事項の金額は、千円単位をもって表示するものとする。単位を規定する意味省令「医療法人会計基準」は、「医療法」第51条第2項適用法人が計算書類を作成するうえで準拠すべき会計基準として起草されています。「医療法」第51条第2項適用法人は、次のように、他の医療法人と比較して規模が大きいため、計算書類に記載される金額も大きくなります(「医療法施...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第5条 総額表示

省令「医療法人会計基準」第5条では、貸借対照表(これを要約した財産目録を含む)および損益計算書において記載される金額について規定しています。第5条 貸借対照表における資産、負債及び純資産並びに損益計算書における収益及び費用は、原則として総額をもって表示しなければならない。総額とは何か貸借対照表や損益計算書に記載すべき金額は、原則として、総額による必要があります。総額とは、関連するプラスとマイナスの金額を相殺しない金額のことをいいます。総額で表記すべき金額(金額を相殺してはいけ...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第4条 会計方針の変更に関する記載

省令「医療法人会計基準」第4条では、第3条において貸借対照表・損益計算書の次に記載することが求められる会計方針を変更したした場合の取り扱いについて規定しています。第4条 会計方針を変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該変更が貸借対照表等に与えている影響の内容を前条の規定による記載の次に記載しなければならない。変更の旨を記載する必要性重要な会計方針に係る説明のなかでも触れたように、会計方針が変更された場合、たとえ前年度とまったく同じ活動をしていたとしても、貸借対照表や損益...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第3条 重要な会計方針の記載

省令「医療法人会計基準」第3条では、計算書類とあわせて開示すべき重要な会計方針について規定しています。第3条 貸借対照表等を作成するために採用している会計処理の原則及び手続並びに表示方法その他貸借対照表等を作成するための基本となる事項(次条において「会計方針」という。)で次に掲げる事項は、損益計算書の次に記載しなければならない。ただし、重要性の乏しいものについては、記載を省略することができる。一 資産の評価基準及び評価方法二 固定資産の減価償却の方法三 引当金の計上基準四 消...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第2条 会計の原則

省令「医療法人会計基準」第2条では、この省令の適用対象となる医療法人が会計処理を行ったり、計算書類を作成したりするうえでの一般原則について規定しています。第2条 医療法人は、次に掲げる原則によって、会計処理を行い、貸借対照表等を作成しなければならない。一 財政状態及び損益の状況について真実な内容を明瞭に表示すること。二 全ての取引について、正規の簿記の原則によって、正確な会計帳簿を作成すること。三 採用する会計処理の原則及び手続並びに貸借対照表等の表示方法については、毎会計年...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説|第1条 医療法人会計の基準

省令「医療法人会計基準」第1条は、この省令の適用対象となる医療法人の範囲について規定しています。第1条 医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)第51条第2項に規定する医療法人(以下「医療法人」という。)は、この省令で定めるところにより、貸借対照表及び損益計算書(以下「貸借対照表等」という。)を作成しなければならない。ただし、他の法令に規定がある場合は、この限りでない。準拠すべき会計基準を指定する意義2015年の「医療法」改正により、一定の医療法人に対しては、そ...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説④(損益計算書・第17条~第21条、注記・第22条)

この記事では,2016年に公布された「医療法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第95号)のうち,損益計算書について規定されている第17条から第21条まで、ならびに、貸借対照表および損益計算書に対する注記について記載されている第22条について逐条解説を行っていきます。省令「医療法人会計基準」逐条解説①(総則・第1条~第6条)省令「医療法人会計基準」逐条解説②(貸借対照表・第7条~第12条)省令「医療法人会計基準」逐条解説③(貸借対照表・第13条~第16条)省令「医療法人会計基...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説③(貸借対照表・第13条〜第16条)

この記事では、2016年に公布された「医療法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第95号)のうち、貸借対照表の純資産の部に記載されるものについて規定されている第13条から第16条までについて逐条解説を行っていきます。純資産の部の規定については、出資者の持分を認めているか、基金制度を採用しているかといった医療法人の定款または寄附行為の定めに応じて適用される条文が変わりますので注意が必要です。省令「医療法人会計基準」逐条解説①(総則・第1条~第6条)省令「医療法人会計基準」逐条解...
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省令「医療法人会計基準」逐条解説・貸借対照表(貸借対照表の様式・資産の評価)【まとめ】

厚生労働省令「医療法人会計基準」の第2章「貸借対照表」のうち貸借対照表の区分および資産の評価について見ていきます。資産の評価については,その取得価額を貸借対照表価額とすることが原則とされつつも,固定資産については強制評価減・減損損失の計上が認められていたり,減価償却累計額・貸倒引当金の直接控除が規定されていたりします。