有形固定資産とは何か
最終更新日:2023年12月03日
有形固定資産とは、企業が自ら使用する目的で保有する物品のうち、その取得日の属する会計期間中に費用として処理されてしまう消耗品に該当しないものをいいます。有形固定資産は、1年以上の長期にわたって使用され、かつ、比較的金額の大きなもの、と説明されることが多いですが、これは、消耗品が、1年未満のうちに使用されてしまうか、または、比較的金額の小さなもの(10万円未満など)と定義されることに由来します。
減価償却の必要性
継続企業を前提とする今日の会計では、企業の活動期間を一定の期間ごとに区切って、定期的にその財産の状況を報告することが求められています(期間損益計算)。有形固定資産は、1年以上の期間にわたって使用されることが想定されているものですから、商品や消耗品のように、企業からなくなったときにその取得原価を費用計上するということになると、有形固定資産を廃棄等した期間とそれ以外の期間とで費用の額が大きく変わってしまい、企業の利害関係者が、損益計算書上で計算される純利益(純損失)の額から企業の業績を読み取ることが難しくなってしまいます。
このため、有形固定資産については、毎期、一定の方法でその取得原価の一部を費用として計上していくことが必要となります。この毎期、一定の方法で有形固定資産の取得原価の一部を費用として計上していく処理のことを減価償却といいます。有形固定資産は、この減価償却という特別の処理を行う都合から、他の資産とは区別して取り扱われます。
なお、有形固定資産のひとつである土地については、例外的に減価償却を行わないこととなっています。土地は、他の有形固定資産とは違い、それ自体の存在がなくなってしまうということがありません。企業が保有していた土地を手放すときは、基本的には誰かに売却する形となり、企業は、売却にあたって一定の金額を得ることができます。しかし、土地の価額は、その土地自体の価値というよりも、その土地がおかれている環境や経済情勢によって変わるものであるため、あらかじめそれをいくらで売却できるかを見積もることはほとんどできません。企業は、その保有する土地について、どれだけの金額を費用として計上すればよいかを決めることができないのです。
有形固定資産に関する会計帳簿上の記録
簿記上、有形固定資産は、土地、建物、備品、車両運搬具、……のように、その種類に応じて別々の勘定を設けて記録を行っていきます。
ただし、企業が保有する有形固定資産は、その種類も数も多く、また、その取得時期もさまざまであるため、このような有形固定資産の種類ごとの記録だけでは、1つ1つの有形固定資産の状況を細かく管理することができません。このため、企業では、このような勘定への記録を前提とする主要簿とは別に、固定資産台帳などを用いて、その状況を個別に把握しています。