租税公課
最終更新日:2023年12月03日
租税公課とは、企業が国や地方自治体などに対して納める税(租税)や手数料(公課)などのことをいいます。
税や手数料に関する情報は、企業の経営管理にあまり活用できるものではないので、租税公課勘定にまとめて記録してしまうことが一般的ですが、必要に応じて、固定資産税、印紙税のように個別の勘定が設けられる場合もあります。また、消費税や、企業の所得に対して課される法人税、住民税、事業税などについても、通常は、租税公課勘定ではない別の勘定を設けて記録が行われます。
租税公課を納めたときの処理
租税公課は、それらを実際に納めたときに、その金額で、租税公課勘定に記録します。租税公課勘定は費用の勘定であるため、その記録は借方に行われます。
固定資産税400,000円を現金で納付した。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 400,000 | 現金 | 400,000 |
印鑑証明書の発行を依頼して、手数料450円を現金で納付した。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 450 | 現金 | 450 |
収入印紙の取り扱い
収入印紙は、印紙税という税を納めたことを証明するものです。印紙税は、契約書や領収書など課税文書とよばれるものを作成したときに課される税ですが、課税文書を作成するたびに税務署等に納付に行くのは大変です。そこで、印紙税については、郵便切手のように、あらかじめ収入印紙を購入しておいて、必要なときにそれを貼り付け、消印を捺すことで、印紙税が納付済みであることを証明する形になっています。
未使用の収入印紙の貯蔵品勘定への振替え
決算にあたって、未使用の収入印紙がある場合は、その金額を租税公課勘定から貯蔵品勘定に振り替えます。
収入印紙については、消耗品のように期末に未使用のものがあってもそのままにしておくということは、基本的には認められません。これは、収入印紙が、いわゆる「金券ショップ」などで容易に換金できるものだからです。購入した収入印紙の額を全額費用とすることが認められた場合、次のように、現金をほとんど減らさずに、節税(脱税)することが可能になってしまいます。
- 節税のため、収入印紙を大量に購入して、費用を増加させる。
- 1.の結果、利益は減少し、利益に応じて計算される税(法人税等)も減少する。
- 新しい会計期間が始まったところで、収入印紙を売却して、現金に戻す。
未使用の収入印紙の額を費用の勘定である租税公課勘定から取り除くことには、このような費用の水増しによる節税(脱税)をできなくする狙いがあります。
収入印紙20,000円を現金で購入した。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 20,000 | 現金 | 20,000 |
決算にあたり、期末に未使用であった収入印紙の額6,000円を貯蔵品勘定に振り替えた。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
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貯蔵品 | 6,000 | 租税公課 | 6,000 |
この仕訳により、当期の租税公課(印紙税)の額は14,000円(=20,000円-6,000円)となります。