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決算手続の概要

最終更新日:2024年06月15日

今日の簿記では、企業の活動を一定期間ごとに区切って、そのひとつひとつの期間ごとに、企業の財産の状況をとりまとめることとなっています(この区切られたひとつひとつの期間のことを会計期間といいます)。会計期間ごとにとりまとめを行うのは、企業の財産の状況に興味・関心を持っている企業内外の人々に対して、タイムリーに情報提供を行えるようにするためです。

決算手続とは、会計期間が終わるごとに、その会計期間の間に会計帳簿に行われた記録をとりまとめ、貸借対照表や損益計算書の形にまとめあげる一連の作業のことをいいます。決算手続では、会計期間中の記録を単に集計するだけではなく、情報利用者に誤解を与えてしまわないために一定の調整も行われます。

決算手続は、大きく分けて次の4つに分けられます。

  1. 会計期間中に行われた記録の誤りを修正するための手続
  2. 貸借対照表や損益計算書に適切な金額を表示するための手続(決算整理)
  3. 会計帳簿を締め切り、翌期の会計帳簿に必要な金額を繰り越す手続
  4. 貸借対照表や損益計算書を作成する手続

会計期間中に行われた記録の誤りを修正するための手続

貸借対照表や損益計算書は、会計帳簿上に行われた記録をもとに作成されます。したがって、この会計帳簿上に行われた記録に誤りがあると、貸借対照表や損益計算書を正しく作成することはできません。そこで、まずは、会計計期間中に行われた記録を改めて振り返り、正しく記録が行われているかを確認します。正しく記録が行われていないケースとしては、次のようなものがあります。

なお、会計帳簿への記録に誤りがないかどうかを確認するために、試算表とよばれるものが作成されることもあります。

貸借対照表や損益計算書に適切な金額を表示するための手続(決算整理)

次に、貸借対照表や損益計算書に適切な金額を表示するための手続を行います。これを決算整理といいます。決算手続では、次のようなことが行われます。

決算整理は、貸借対照表や損益計算書に適切な金額を表示するために行われるもので、現実世界で実際に取引として起こったことを記録するものではありません。このため、決算整理は、貸借対照表や損益計算書でどのような情報が提供されるべきかを意識しながら行うことが重要になります。

会計帳簿を締め切り、翌期の会計帳簿に必要な金額を繰り越す手続

会計帳簿は、原則として、会計期間ごとに別々のものが作成されます。しかし、企業が保有する財産や債権・債務の状況は、簿記の都合と関係なく、次の会計期間に持ち越されますから、会計帳簿上もこれらの状況に関する記録を次の会計期間の会計帳簿に繰り越す必要があります。

貸借対照表や損益計算書を作成する手続

最後に、貸借対照表や損益計算書を作成します。貸借対照表や損益計算書は、ここまでに行われた会計帳簿上の記録(会計期間中の記録だけでなく、決算手続のなかで行われた記録を含みます)から作成されます。

貸借対照表や損益計算書の様式には、会計帳簿と同様に左右に分けて各勘定の金額を表示する勘定式と、同じ性質をもつ勘定をグルーピングして、情報利用者が企業の財産の情報をより理解しやすくなるよう工夫された報告式の2つのものがあります。

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