担当講義

入門簿記・基礎簿記(和光大学)

株式会社において行われる簿記の基本について学習する講義科目です。わが国では、すべての企業に対して会計帳簿を作成することが義務づけられています。簿記の学習の目標は、この会計帳簿の作成方法を身につけることにあります。一昔前は、働くといえば、どこかの企業に就職して、従業員として仕事を行うというのが普通でした。しかし、最近では、インターネットビジネスが手軽に行えるようになっていたり、起業でも副業が推奨されていたりと、個人でも事業を行うことが容易に、また、必要になってきました。簿記は、いまや誰もが身につけるべきスキルになりつつあります。

前期の入門簿記は、経営学科の必修科目として設定されています。経営者は、売上や利益といった簿記から得られる情報をもとに企業の状況を把握して、将来の経営計画を立てていきます。経営者がどのようなことを考えているのかを知るには、まず、経営者がどのような情報を使っているのかを知っておく必要があります。人によって得意・不得意はあるとは思いますが、経営学科での学習を進めるにあたって絶対に必要な知識になりますから、頑張って単位の修得を目指してください。

教科書:海老原諭『初級簿記教本』創成社、2019年。  海老原諭『初級簿記教本問題集』創成社、2019年。

入門簿記演習・基礎簿記演習(和光大学)

日商簿記検定3級の合格を目標として行う演習科目です。大学入学前、または、大学に入ってから入門簿記・基礎簿記でひととおりの学習が終わった学生を対象に、本試験レベルの問題演習を行っていきます。簿記は、分かるようになることがゴールではなく、できるようになることがゴールです。そして、できるようになるためには、実際に手を動かして、問題を繰り返し解くことが絶対に必要になります。在学中に資格を取得したい人、日商簿記検定2級から先の学習にステップアップしていきたい人に受講してほしい科目です。

演習科目は、教室で与えられた問題を解くだけでは意味がありません。教室で問題を解いた際に迷ったところ、分からなかったところを自宅に持ち帰り、しっかりと復習することで、苦手なところを1つ1つつぶしていくことが勉強の本丸です。講義で取り組んだ問題をきっかけにして、資格取得に向けた自分の勉強をブーストさせる。これがこの演習科目を履修することの最大の意味になります。

商業簿記(和光大学)

この科目は、入門簿記・基礎簿記で学習したさまざまな処理について、なぜそのような処理をするのかを説明していく講義です。簿記という名前はついていますが、仕訳や転記といった実技科目ではなく、他の経営科目と同じような理論科目です。簿記のルールは永遠に変わらないものではなく、経済環境の変化に応じて頻繁に改定されています。現在の簿記のルールも、私が大学生だったときのルールと比べると大きく変わりました。このため、企業の経理部門や金融機関などで仕事をするにあたっては、たびたび改定される新しいルールを理解できるようになるために、会計の考え方・ルールの読み方を一通り頭に入れておく必要があります。

具体的には、次のようなことを学習していきます。

  • そもそも利益とはどのようなものなのか
  • なぜ会計期間ごとに利益計算が行われるのか
  • なぜ資産を購入したときは購入代価に付随費用を加えた金額で記録するのか
  • なぜ商品や消耗品の仕訳に複数の方法が認められているのか
  • なぜ見越しや繰り延べを行う必要があるのか

会計学(和光大学)

会計というと簿記のことをイメージする人が多いのではないかと思います。しかし、会計の世界は簿記だけではありません。この科目の目的は、会計には簿記以外にどのような専門領域があるのかをイメージしてもらうことにあります。それぞれの専門領域については、3年次に専門科目が設置されていますから、この科目では、あまり深堀りはしません。興味をもてそうな領域を見つけることができたら、ぜひ3年次にそれを取り扱う科目も履修してみてください。

具体的には、次のようなことを学習していきます。

  • 会計基準の基礎概念:どのようなことを考えて会計のルールが作られているのか
  • 会計監査:会計情報の「正しさ」はどのように保証されているのか、公認会計士の仕事
  • 財務情報の活用方法:財務諸表の読み方、財務分析、有価証券報告書の活用
  • 税務会計:金商法会計と税務会計の違い、税務上の手続き、税理士の仕事
  • 管理会計:会計情報をどのように経営上の意思決定に活用するのか、経営管理情報を得るための簿記上の工夫

企業評価論(共立女子大学)

2000年代に入って以降、わが国企業でもM&Aが行われることが珍しくなくなってきました。新しい事業を始めるにあたって、他の企業を丸ごと買い上げてしまえば、そこで築かれたノウハウや顧客といった「見えざる資産」を自分のものにできるため、自分で1から事業を立ちあげるのと比べてスムーズに事業を開始することができます。IT系の企業などが、活発にM&Aを行うことで急速に事業を大きくしてきたのはみなさんもご存じのとおりです。

企業は、小売店で販売されている商品のように価格が決まっているわけではありません。買い手と売り手がその企業の価値について協議し、互いに折り合いがついた金額で契約が成立することになります。企業自体を対象とする取引は、金額が大きくなることもあり、失敗が許されません。この講義では、企業評価に使用されるさまざまな方法について、その長所や短所、実際の企業評価に使用する場合の注意点などとあわせて説明していきます。

この講義で学習することは、企業の経営企画室において経営戦略を練るにあたっても(企業価値の向上)、みなさんが投資家として投資を行う際にも(企業の部分的な買収)、金融機関から融資を引き出す際にも(企業の価値の売り込み)、役立てることができるでしょう。

教科書:奈良沙織『企業評価論入門』中央経済社、2019年。