医療法人とはどのような法人か
医療法人とは、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設または介護医療院を開設しようとする社団または財団が「医療法」の規定にしたがって法人となったものをいいます(「医療法」第39条)。
病院等の開設
まず、医療法人は、次のうち1つ以上の種類の施設を開設することを目的としなければなりません。
- 病院(「医療法」第1条の5第1項)
- 医師または歯科医師が常時勤務する診療所(「医療法」第1条の5第2項)
- 介護老人保健施設(「介護保険法」第8条第28項)
- 介護医療院(「介護保険法」第8条第29項)
病院等の施設は、原則として、開設(予定)地の都道府県知事の許可を受けることで、個人や医療法人以外の法人であっても開設することができます。医療法人でなければ、病院等を開設することはできないということはありません。医療法人を設立することは、あくまでも病院等を新たに開設するにあたっての選択肢のひとつにすぎません。
現在、わが国において開設されている病院および一般診療所(歯科診療所以外の診療所)は、医療法人によって開設されたものが最も多くなっています。厚生労働省の「医療施設調査」によれば、2024年10月1日現在、わが国において開設されている病院全8,060施設のうち5,626施設(全体の69.8%)、一般診療所全105,207施設のうち47,711施設(全体の45.3%)が医療法人によって開設されたものとなっています。
法人の設立
法人とは、私達のような生物としての人間(以下、「自然人」といいます)以外のものに対して、法令の定めによって、自然人と同じように権利や義務の帰属主体となることが認められたもののことをいいます。
法人が設立されると、法人自体が権利や義務の帰属主体となるため、法人の権利や義務と、その法人のために働く自然人の権利や義務とが区別されます。たとえば、法人で働く従業員が、その法人のお金を盗んでしまったとしたら犯罪になります(横領)。たとえ法人のために働いていたとしても、そのお金は法人のものであって、その人のものではないからです(法人の財産権)。また、たとえば、法人が銀行から借り入れた金銭を、法人で働く従業員が返済する必要はありません。借入金を支払うのは、従業員ではなく、法人自体の義務だからです(法人の返済義務)。
ここでは従業員を例に説明しましたが、法人を設立した人や法人の役員であったとしても同じです。たとえば、自分の財産をなげうって法人を設立した場合であっても、法人を設立した以上、その財産はその人のものではなく、法人のものとなります。自分が拠出した財産であるからといって自分の好きに使ってしまったら、さきほどの横領をはたらいた従業員と同じように、法人に対して損害を与えたものとして取り扱われます。
社団法人と財団法人
法人には、社団が法人となった社団法人と、財団が法人となった財団法人とがあります。
社団法人
社団法人とは、特定の目的を達成するために結成された複数の自然人の集まり(グループ)が法人となったものをいいます。社団法人は、複数の人で協力しながら対外的な活動を行っていこうとする場合にされます。
社団の構成員のことを社員といいます。構成員とは、社団の存続や活動方針について意思決定を行う人々のことをいい、社員が社団法人の目的を達成するために雇用した人々(従業員等)は含みません。また、社員という言葉は、一般的に会社員の意味で使われていますが、法律上、社員という言葉にこのような意味はありません。
財団法人
財団法人とは、一定の財産の集まりを法人としたものをいいます。財団法人は、資産家が亡くなった際に遺された財産や、特定の個人または不特定多数の者から寄付された財産を、社会をよりよくするために役立てるために設立されます。
財産は、自然人ではないので、自分の意志をもつことも、活動することもできません。このため、財団には、集められた財産を本来の目的のために有効活用する役割を任せられた管理者が必要になります。この財産の管理者のことを評議員といいます。