仕入時・売上時の記録(先入先出法)
商品を仕入れたとき
商 品 有 高 帳 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
商 品 X | |||||||||||
月 | 日 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | ||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | |||
4 | 5 | 20 | 600 | 12,000 | |||||||
8 | 仕入 | 80 | 650 | 52,000 | 20 | 600 | 12,000 | ||||
80 | 650 | 52,000 |
受入欄の記録
商品を仕入れたときは、まず、受入欄に仕入れた商品の数量、単価および金額を記入します。
数量欄に記録する単位は、その商品を顧客に対して販売する単位を使用します。たとえば、1箱に10個入っている状態で仕入れている商品について、顧客に箱単位で商品を販売する場合は数量欄も箱単位で記入し、箱から出して個別に販売する場合は数量欄も個単位で記入します。
金額欄に記入する金額は、引取運賃をはじめとする付随費用を含めた取得原価を記入します。商品有高帳の記録は、商品の種類ごとに分けて行いますので、複数の種類の商品を同時に仕入れ、引取運賃その他の付随費用をまとめて支払っているような場合には、その付随費用を商品ごとに分けて取得原価に算入しなければなりません。
単価についても、商品自体の単価ではなく、付随費用を含めた金額を計算します。このため、3つの記入欄は、先に数量と金額(取得原価)を埋めてから、それらの数字を使って計算した単価(金額÷数量)を記入するという順で埋めていきます。この設例では、80単位の商品を52,000円で仕入れていますから、単価は650円(=52,000円÷80単位)となります。
残高欄の記録
残高欄には、その時点で保有する商品の状況について、それらを仕入れた順に記録していきます。先入先出法では、先に仕入れた商品から払い出すと仮定して計算を行っていきますから、先に仕入れたものと、今仕入れたものが混ざってしまわないようにします。
まず、仕入直前の残高欄の記録をそのまま書き写します。仕入直前の記録は、その日の仕入れよりも前に仕入れた商品の記録です。この例では、4月5日の残高欄に記録されている20単位、600円、12,000円をそのまま8日の残高欄に書き写します。
次に、新しく仕入れた商品に関する記録を受入欄から書き写します。この例では、さきほど受入欄に記入した80単位、650円、52,000円を残高欄に書き写します。
商品を売り上げたとき
商 品 有 高 帳 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
商 品 X | |||||||||||
月 | 日 | 摘要 | 受入 | 払出 | 残高 | ||||||
数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | 数量 | 単価 | 金額 | |||
4 | 8 | 20 | 600 | 12,000 | |||||||
80 | 650 | 52,000 | |||||||||
13 | 売上 | 20 | 600 | 12,000 | |||||||
20 | 650 | 13,000 | 60 | 650 | 39,000 |
払出欄の記録
商品を売り上げたときは、売上直前の残高欄に行われている記録のうち、上に書かれているものから順に払出欄に書き写していきます。商品を仕入れたときに、先に仕入れたものを上に、新しく仕入れたものをその下に記録していますから、上に書かれたものから払出欄に移動させていくことで、記録上、先に仕入れたものから払い出しが行わていることを表現できます。
上の例では、商品を売り上げた直前の残高欄に、単価が600円の商品が20単位、単価が650円の商品が80単位記録されています。ここで、商品を40単位売り上げたとしましょう。
この場合は、まず上に書かれている単価600円の商品を20単位払い出します(20単位しか持っていないことに注意してください)。数量が20単位、単価が600円ですから、金額欄の記録はこれらを掛け合わせた12,000円(=20単位×600円)になります。商品有高帳は、保有する商品を取得原価を使って記録していく会計帳簿なので、単価欄に商品の販売価格を書いてはいけません。
次に、不足する残りの20単位を払い出します。残高欄には単価650円の商品が80単位残っていますが、今回売り上げたのはさきほど払い出した20単位を含めて40単位だけですので、単価650円の商品を払い出すのは残りの20単位分だけです。今度は、数量が20単位、単価が650円ですから、金額欄の記録はこれらを掛け合わせた13,000円(=20単位×650円)になります。
残高欄の記録
残高欄には、その時点で保有する商品の状況について、それらを仕入れた順に記録していきます。直前の残高欄に単価の異なる商品が複数記録されている場合は、上にある商品から払い出していくことを意識して記録を行う必要があります。
まず、直前の残高欄のはじめに記録されていた単価600円の商品については、すべて払い出されてしまったので、残高欄に書くことはありません。
次に、直前の残高欄の2番目に記録されていた単価650円の商品については、直前に保有していた80単位のうち20単位が払い出されたので、残りの数量は60単位(=80単位-20単位)です。したがって、金額欄に記録する金額は、この60単位に単価650円をかけた39,000円(=60単位×650円)となります。