仕入時・売上時の記録（移動平均法）

商品を仕入れたとき

受入欄の記録

商品を仕入れたときは、まず、受入欄に仕入れた商品の数量、単価および金額を記入します。

数量欄に記録する単位は、その商品を顧客に対して販売する単位を使用します。たとえば、1箱に10個入っている状態で仕入れている商品について、顧客に箱単位で商品を販売する場合は数量欄も箱単位で記入し、箱から出して個別に販売する場合は数量欄も個単位で記入します。

金額欄に記入する金額は、引取運賃をはじめとする付随費用を含めた取得原価を記入します。商品有高帳の記録は、商品の種類ごとに分けて行いますので、複数の種類の商品を同時に仕入れ、引取運賃その他の付随費用をまとめて支払っているような場合には、その付随費用を商品ごとに分けて取得原価に算入しなければなりません。

単価についても、商品自体の単価ではなく、付随費用を含めた金額を計算します。このため、3つの記入欄は、先に数量と金額（取得原価）を埋めてから、それらの数字を使って計算した単価（金額÷数量）を記入するという順で埋めていきます。この設例では、80単位の商品を52,000円で仕入れていますから、単価は650円（＝52,000円÷80単位）となります。

残高欄の記録

残高欄には、仕入直前に保有していた商品の数量および金額と、新しく仕入れた商品の数量および金額をそれぞれ合計して、単価欄、金額欄に記入します。上の例では、数量欄が100単位（＝20単位＋80単位）、金額欄が64,000円（＝12,000円＋52,000円）となります。単価は合計しませんので注意してください。

次に、この合計した数量と金額を使って新しい単価を計算します。新しい単価は、合計金額64,000円を合計数量100単位で割った640円（＝64,000円÷100単位）となります。

商品を売り上げたとき

払出欄の記録

商品を売り上げたときは、まず、その数量を払出欄に記録し、次に、残高欄の単価欄に記入されている金額を書き写します。移動平均法では、商品を仕入れるたびに、それ以前に保有していた商品と新しく仕入れた商品の平均単価を計算しなおしているため、先入先出法や後入先出法のときのように、商品の仕入順を考慮する必要はありません。

次に、この数量と単価を使って金額欄に記入する金額を求めます。上の例の場合、数量が40単位、単価が640円ですから、その金額は25,600円（＝40単位×640円）となります。

残高欄の記録

残高欄の記録は、まず、払い出した数量を直前の残高欄から減らします。上の例の場合、直前の数量が100単位、払い出した数量が40単位ですから、残高欄に記入する数量は60単位（＝100単位－40単位）となります。

次に、単価欄に、直前の残高欄に記録されていた金額をそのまま書き写します。移動平均法では、商品を仕入れたときに単価を計算しなおしますが、商品を売り上げたときは単価は変わりません。

最後に、これらの数量と単価を使って金額欄に記入する金額を求めます。上の例の場合、数量が60単位、単価が640円ですから、その金額は38,400円（＝60単位×640円）となります。