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売掛帳・売掛金元帳

売掛帳・売掛金元帳とは

売掛帳うりかけちょう売掛金元帳うりかけきんもとちょうとは、売掛金の発生・回収の状況を得意先ごとに記録できるようにした会計帳簿です。売掛帳は、いわゆる簡易帳簿のひとつであり、売掛帳単独で利用されることが前提となっています。一方、売掛金元帳は、会計帳簿への記録を複式簿記で行っている場合に利用されるものであり、単独でも利用できますが、総勘定元帳と相互に記録を照合することができるように様式が工夫されています。どちらも得意先ごとに記録を分けて行うことができるというところに特徴があります。

売掛帳

売掛帳への記入

得意先欄
売掛帳では、各ページの冒頭に、そのページがどの得意先に対する売掛金の状況を記録する場所であるかを明らかにするために、得意先の名前を書きます。
月・日欄
月・日欄には、商品を掛けで売り上げたり、掛けで売り上げた商品について返品を受けたり、値引き・割戻等を行ったり、売掛金を回収したりと、得意先に対する売掛金が増減する取引が生じた日の日付を記録します。会計帳簿への記録を、週末など、後日まとめて行うような場合であっても、月・日欄には、記録を行った日ではなく、実際に取引が行われた日付を記録します。
取引が行われた日付の属する月が直前に記録された月と同じである場合は、月欄への記入を省略して構いません。また、取引が行われた日付が直前に記録された日と同じである場合は、「〃」と記入する形で日欄への記入を省略してすることができます。
摘要欄
摘要欄には、売掛金が増減した理由を記録します。得意先への請求を売掛帳をもとに行っている場合は、請求書に記載する事項(商品名、個数、単価など)を細かく記録しておきます。複数の商品を売り上げている場合など、売掛金が増減する理由が2つ以上ある場合は、それらの理由ごとに行を分けて記録を行います。
売上金額欄
売上金額欄には、売上によって生じた売掛金の額を書きます。この会計帳簿は売掛帳ですから、売掛金が発生しない売上(現金売上など)の額を書く必要はありません。摘要欄を複数の行に分けて記録している場合は、各行に記入した内容ごとに分けて金額を書いておくと、その後、請求書を作成するときにやりやすいでしょう。
過去に売り上げた商品について返品を受けたり、値引きや割り戻しをして、商品を売り上げたときに計上した売掛金が取り消された場合は、回収金額欄ではなく、この売上金額欄に赤字でその金額を書いておきます。なお、その後、売掛帳がコピーされたときに備えて、また、金額を集計するときに見間違いをしにくいように、金額の頭に△を書いて、取消額(マイナスの金額)であることを強調しておくとよいでしょう。
回収金額欄
回収金額欄には、原則として、売掛金を回収したときにその金額を記入します。また、例外的にはなりますが、得意先が倒産し、売掛金が貸し倒れになったり、その一部が減額されたり(減額したり)したときも、その金額をこの回収金額欄に記入し案す。
なお、売掛金を自社の預金口座に振り込んでもらうにあたって、振込手数料を自社が負担する契約になっている場合、預金口座に実際に振り込まれる金額は、得意先に請求した金額から振込手数料の額が差し引かれた残額となります。しかし、このような場合であっても、実際に振り込まれた金額(手数料が差し引かれた後の金額)ではなく、得意先が振り込んだ金額(手数料が差し引かれる前の金額)を回収金額欄に記入します。
残高金額欄
残高金額欄には、その得意先に対する売掛金の残額(まだ支払いを受けていない金額)を記録します。この金額は、直前の残高金額欄の金額に、売上金額欄に記入した金額を加え、または、ここから回収金額欄に記入した金額を差し引くことで計算されます。
なお、残高金額欄は、売掛帳への記録を行う企業が売掛金の管理のために使用するもので、得意先に発行される請求書に記載されるものではありません。このため、合計金額欄の複数の行に金額が書かれていたとしても、残高記入欄への記録は、取引ごとにまとめて行ってしまって構いません。

記録の繰越し

次のページへの記録の繰越し

前のページ

売掛金に係る取引が新たに発生したときに、記録を行っているページの残りの行数が足りないときは、その取引の記録を行う前に、次のページにそのページまでに行われた金額を繰り越してから、新しい取引の記録を行います。なお、最後の記録が行われた行から下から2行目まで空いているときは、その空いている行の摘要欄に斜線をひき、余計な記録が後から追加されないようにします。

次のページに記録を繰り越すにあたっては、売上金額欄に記録されている金額と、回収金額欄に記録されている金額を上から下まですべて合計し、その結果を一本線を引いた下に書きます(返品、値引き・割戻しなどがある場合は、その金額を減額します)。なお、この合計金額のすぐ上に引く一本線のことを合計線といいます。

そして、売上金額欄の合計金額から回収金額欄の合計金額を差し引いた金額を残高金額欄に記入します。これが、直前に書かれている残高金額欄の金額と同じであれば、そのページの記録は正しく集計できたことになります。もし同じでなかったら、そのページの記録や集計のどこかに誤りがあるため、次のページに繰り越しする前に間違いがないかを確認してください。

次のページ

次のページの1行目には、前のページの最終行に書いた売上金額および回収金額の合計額と残高金額をそのまま書き写します。前のページの最終行に書かれた内容と、次のページの1行目に書かれた内容がすべて一致していれば、途中のページが抜き取られていないこと(都合の悪いことを隠していないこと)の証明になります。

次の期間への記録の繰越し(締切り)

繰越元

このような形でページが変わるごとに合計金額を繰り越していくと、繰り越される合計金額がどんどんと大きくなってしまうため、一定期間ごとにこの金額をリセットする作業が行われます。この作業のことを繰越しといいます。

売掛帳を締め切る場合、最終的な残高金額を回収金額欄に赤字で記入してから、売上金額欄に記入されている金額と、回収金額欄に記入されている金額をそれぞれ合計します。これら2つの金額が一致していなかった場合は、これまでそのページに行われてきた記録のどこかに誤りがあることになるため、誤りがないかを確認します。

2つの金額が一致したら、それらの金額の下に二重線を引きます。この二重線のことを締切線といいます。二重線は、月・日欄および残高金額欄にも引いておき、その期間の記録が終わったことを明確にしておきます。

繰越先

新しい期間の売掛帳の記録は、直前の期間の最終的な残高金額を引き継ぐところからはじまります。売掛帳の場合、売上金額欄にその金額を記入したうえで、残高金額欄にも同じ金額を記入します。

売掛金元帳

売掛金元帳への記入

得意先欄
売掛金元帳でも、各ページの冒頭に、そのページがどの得意先に対する売掛金の状況を記録する場所であるかを明らかにするために、得意先の名前を書きます。
月・日欄
月・日欄には、商品を掛けで売り上げたり、掛けで売り上げた商品について返品を受けたり、値引き・割戻等を行ったり、売掛金を回収したりと、得意先に対する売掛金が増減する取引が生じた日の日付を記録します。会計帳簿への記録を、週末など、後日まとめて行うような場合であっても、月・日欄には、記録を行った日ではなく、実際に取引が行われた日付を記録します。
取引が行われた日付の属する月が直前に記録された月と同じである場合は、月欄への記入を省略して構いません。また、取引が行われた日付が直前に記録された日と同じである場合は、「〃」と記入する形で日欄への記入を省略してすることができます。
摘要欄
摘要欄には、売掛金が増減した理由を記録します。得意先への請求を売掛金元帳をもとに行っている場合は、請求書に記載する事項(商品名、個数、単価など)を細かく記録しておきます。複数の商品を売り上げている場合など、売掛金が増減する理由が2つ以上ある場合は、それらの理由ごとに行を分けて記録を行います。
借方金額欄・貸方金額欄
借方金額欄と貸方金額欄には、売掛金に係る取引が行われた際に、その増減額が総勘定元帳上、記録が行われる側(借方か貸方か)と同じ側に、取引による増減額を記録します。すなわち、売掛金が増加したときは借方、減少したときは貸方にその金額を記録します。
借/貸欄
残高金額に記録された金額が借方残高であるか、貸方残高であるかを、それぞれ「借」「貸」の1文字で表します。売掛金元帳の場合は、通常、借方残高となるので、借/貸欄には、「借」が並びます。そのページ2回目以降の「借」については、「〃」として記録を省略することもできます。
残高金額欄
残高金額欄には、その得意先に対する売掛金の残額(まだ支払いを受けていない金額)を記録します。この金額は、直前の残高金額欄の金額に、借方金額欄に記入した金額を加え、または、ここから貸方金額欄に記入した金額を差し引くことで計算されます。

記録の繰越し

次のページへの記録の繰越し

前のページ

売掛金に係る取引が新たに発生したときに、記録を行っているページの残りの行数が足りないときは、その取引の記録を行う前に、次のページにそのページまでに行われた金額を繰り越してから、新しい取引の記録を行います。なお、最後の記録が行われた行から下から2行目まで空いているときは、その空いている行の摘要欄に斜線をひき、余計な記録が後から追加されないようにします。

次のページに記録を繰り越すにあたっては、借方金額欄に記録されている金額と、貸方金額欄に記録されている金額を上から下まですべて合計し、その結果を一本線を引いた下に書きます。なお、この合計金額のすぐ上に引く一本線のことを合計線といいます。

そして、借方金額欄の合計金額から貸方金額欄の合計金額を差し引いた金額を残高金額欄に記入します。これが、直前に書かれている残高金額欄の金額と同じであれば、そのページの記録は正しく集計できたことになります。もし同じでなかったら、そのページの記録や集計のどこかに誤りがあるため、次のページに繰り越しする前に間違いがないかを確認してください。

次のページ

次のページの1行目には、前のページの最終行に書いた借方金額および貸方金額の合計額と、借/貸欄の記録および残高金額をそのまま書き写します。前のページの最終行に書かれた内容と、次のページの1行目に書かれた内容がすべて一致していれば、途中のページが抜き取られていないこと(都合の悪いことを隠していないこと)の証明になります。

次の期間への記録の繰越し(締切り)

繰越元

このような形でページが変わるごとに合計金額を繰り越していくと、繰り越される合計金額がどんどんと大きくなってしまうため、一定期間ごとにこの金額をリセットする作業が行われます。この作業のことを繰越しといいます。

売掛金元帳を締め切る場合、最終的な残高金額を貸方金額欄に赤字で記入してから、借方金額欄に記入されている金額と、貸方金額欄に記入されている金額をそれぞれ合計します。これら2つの金額が一致していなかった場合は、これまでそのページに行われてきた記録のどこかに誤りがあることになるため、誤りがないかを確認します。

2つの金額が一致したら、それらの金額の下に二重線を引きます。この二重線のことを締切線といいます。二重線は、月・日欄、借/貸および残高金額欄にも引いておき、その期間の記録が終わったことを明確にしておきます。

繰越先

新しい期間の売掛金元帳の記録は、直前の期間の最終的な残高金額を引き継ぐところからはじまります。売掛金元帳の場合、この残高金額は借方残高になっているはずなので、借方金額欄にその金額を記入したうえで、借/貸欄には借、残高金額欄には借方金額欄に記入したのと同じ金額を記入します。