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減価償却費の計算

土地以外の有形固定資産について、各期に計上すべき減価償却費の額を求めるにあたっては、(1)その有形固定資産について計上すべき減価償却費の総額(要償却額)と、(2)その金額を各期に配分していく方法の2つを、企業が独自に決める必要があります。

要償却額の計算

有形固定資産の要償却額は、次の計算式によって求められます。

有形固定資産の要償却額=取得原価-残存価額

取得原価
有形固定資産を企業が使用できる状態にするまでに要する金額(使用開始時に未払いの金額を含む)。この金額には、取得した有形固定資産自体の価額(購入代価)だけでなく、運送費、据付費、試運転費などの購入代価以外の金額(付随費用)を含みます。
残存価額
有形固定資産を使用した後、その有形固定資産を中古品として売却したり、その有形固定資産を構成する一部(部品・素材等)を売却したりすることによって、企業が受け取ると見込まれる金額

取得原価から残存価額を控除するのは、使用後の売却に得られる金額だけ企業が取得時に支払った金額が戻ってくる、すなわち、実質的な支払額が減ると考えられるためです。いいかえれば、取得原価から残存価額を控除するのは、企業が有形固定資産について(取得原価ではなく)実質的に支払う金額だけを減価償却の対象とするためということになります。

要償却額の配分方法の決定

有形固定資産の要償却額を、その有形固定資産が使用される各期間にわたって配分する方法には、複数のものが認められています。有形固定資産は、商品や製品のように、その数量を使って誰もが同じような形で消費高を把握することができません。このような有形固定資産について、誰もが同じように納得できる絶対的な配分方法を誰かが決めてしまうと、どうしても納得できない人が出てきてしまいます。そこで、有形固定資産については、複数の配分方法を認めたうえで、企業自身に選んでもらう形になっています。

定額法

定額法とは、各期の減価償却費を有形固定資産の使用期間に比例して計上していく方法です。通常、企業の会計期間の長さは毎期一定ですから、各期に計上される減価償却費の額は、毎期一定になります。

定額法による減価償却費の計算

定率法

定率法とは、各期の減価償却費として、有形固定資産の取得原価からそれまでに計上された減価償却費の累計額を控除した残額(未償却残高)の一定割合を計上していく方法です。会計期間を追うにつれて、減価償却費の累計額は増えていきますから(未償却残高は減っていきますから)、各期に計上される減価償却費の額は、会計期間ごとに減っていきます。

定率法による減価償却費の計算

生産高比例法

生産高比例法とは、各期の減価償却費として、有形固定資産の要償却額にその有形固定資産の使用割合(各期の使用料÷総使用可能量)を掛けた金額を計上していく方法です。生産高比例法では、各期に計上される減価償却費の額が有形固定資産の使用状況によって変わるため、定額法や定率法のようにあらかじめ各期に計上される減価償却費の額を予定しておくことはできません。

生産高比例法による減価償却費の計算