減価償却費の損金算入限度額
減価償却費を計算するためには、有形固定資産の残存価額や耐用年数を見積もったり、定額法、定率法など数ある償却方法のなかから適切な減価償却費の計算方法を選択したりと、企業側が主体的に判断を行う必要があります。→減価償却費の計算へ
このような企業側の主体的な判断に基づく減価償却費の計算は、その企業が有形固定資産についてどのように考えているかを知ることができるという意味で一定の意義があります。しかし、企業が納付すべき税額を計算するにあたって、このような企業の主体的な判断を無条件に認めてしまうと、企業間の公平性の観点から問題が生じる可能性があります。多くのお金を稼いでいる企業が、税負担を低く抑えるために、わざと多額の減価償却費が計算されるような見積もりを行ったり、償却方法を選択したりすることもできてしまうからです。
このため、税法では、企業が稼いだ金額(所得の額)を計算するにあたって控除することができる減価償却費の限度額(損金算入限度額)を定めています。企業が自らの主体的な判断によって計算した減価償却費の額が損金算入限度額を超える場合、この超えた部分の金額については控除が認められません。その結果、損金算入限度額を超える減価償却費を計上したとしても、納税額を減らすことはできなくなっています。