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勘定金額の集計と試算表

合計金額と残高金額

各勘定には、取引が行われるごとに、その増加額(発生額)または減少額(取消額)が記録されていきます(参考:複式簿記による会計帳簿への記録の基本)。各勘定に記録されたこれらの金額を集計する方法には2つのものがあります。

合計金額

合計金額とは、借方に記録された金額と、貸方に記録された金額とを、それぞれ別々に合計したものといいます。借方に記録された金額の合計額を借方合計、貸方に記録された金額の合計額を貸方合計といいます。なお、借方または貸方に金額が1つもない場合、合計金額はゼロとなります。また、借方または貸方に記録された金額を合計したものですから、合計金額がマイナスになることはありません。

残高金額

残高金額とは、借方の合計金額と貸方の合計金額のどちらか大きい方から小さい方を差し引いた金額をいいます。借方合計の方が大きかった場合、その差額は借方残高といいます。これとは反対に、貸方合計の方が大きかった場合、その差額は貸方残高といいます。残高金額は、借方に記録された金額と貸方に記録された金額のどちらがいくら多かったかを意味する金額となります。なお、借方合計と貸方合計が同額である場合、残高金額はゼロとなります。また、どちらか合計金額が大きい方から引き算したものですから、残高金額がマイナスになることもありません。

設例

借方合計
200,000+20,000+10,000+30,000=260,000
貸方合計
80,000+5,000+3,000+20,000+2,000=110,000
残高金額
260,000-110,000=150,000(借方残高)

試算表

試算表とは、企業が総勘定元帳に設けているすべての勘定について行った金額の集計結果を1つの表にまとめたものをいいます。試算表は、どの集計金額を使ったかによって、合計試算表、残高試算表および合計残高試算表の3つに分けられます。

合計試算表

合計試算表は、各勘定の合計金額をまとめた試算表です。借方合計と貸方合計がある場合は、勘定科目の左右両側にそれらの金額を記録します。合計金額がない場合(勘定の借方または貸方に記録が行われていない場合)は、その欄は空欄にしておきます。合計試算表は、企業が一定期間の間にどれだけの取引を行ったか(取引・活動の規模)を知りたいときに作成されます。

合 計 試 算 表
借方金額 勘定科目 貸方金額
4,320 現金 4,230
3,850 普通預金 3,540
450 備品
50 借入金 250
元入金 380
営業収益 2,200
受取利息 2
780 旅費交通費
260 水道光熱費
380 通信費
500 支払家賃
12 支払利息
10,602 10,602

残高試算表

残高試算表は、各勘定の残高金額をまとめた試算表です。残高金額は、借方合計と貸方合計のどちらか大きい方に記録します。残高金額がない場合(借方合計と貸方合計が同額である場合)は、その欄は借方・貸方ともに空欄にしておきます。残高試算表は、各勘定の現在の状況を知りたいときに作成されます。

残 高 試 算 表
借方金額 勘定科目 貸方金額
90 現金
310 普通預金
450 備品
借入金 200
元入金 380
営業収益 2,200
受取利息 2
780 旅費交通費
260 水道光熱費
380 通信費
500 支払家賃
12 支払利息
2,782 2,782

合計残高試算表

合計残高試算表は、各勘定の合計金額と残高金額をまとめた試算表です。借方、貸方ともに合計金額を内側に、残高金額を外側に記録します。合計金額欄、残高金額欄に記録される金額は、それぞれ合計試算表、残高試算表の金額と一致します。

合 計 残 高 試 算 表
借方残高 借方合計 勘定科目 貸方合計 貸方残高
90 4,320 現金 4,230
310 3,850 普通預金 3,540
450 450 備品
50 借入金 250 200
元入金 380 380
営業収益 2,200 2,200
受取利息 2 2
780 780 旅費交通費
260 260 水道光熱費
380 380 通信費
500 500 支払家賃
12 12 支払利息
2,782 10,602 10,602 2,782

貸借平均の原理

試算表では、借方側に記録された合計金額または残高金額の合計額と、貸方側に記録された合計金額または残高金額の合計額は必ず一致します。上の設例では、合計金額10,602円、残高金額2,782円がそれぞれ借方、貸方ともに一致しています。この借方・貸方それぞれの合計額が一致する関係性のことを貸借平均の原理といいます。貸借とは借方と貸方のこと、平均とは英語のバランス(balance)のことを意味します。