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総勘定元帳

総勘定元帳とは

総勘定元帳そうかんじょうもとちょうとは、複式簿記で記録を行っている場合に使用される主要簿のひとつで、取引によって生じた財産の動きやそれらの動きをもたらした理由を1つ1つ別々の場所に記録できるようにしたものをいいます。各期の財務諸表は、この総勘定元帳に記録された金額をもとに作成されます。

総勘定元帳への記録は、仕訳帳に取引を仕訳した後に行われ、仕訳帳の記録が一部引き継がれます。このため、総勘定元帳への記録を完全に理解するためには、仕訳帳への記録の方法についてもあらかじめ理解しておく必要があります。

なお、総勘定元帳には、残高式勘定式の2つの様式(フォーマット)があります。

残高式による総勘定元帳

勘定式による総勘定元帳

勘定

勘定かんじょうとは、総勘定元帳のなかに設けられた、財産の動きやそれらの動きをもたらした理由を記録する場所のことをいいます。勘定は、財産の動きやそれらの動きをもたらした理由1つ1つについて設けられ、それぞれ別々の名前がつけられています。この勘定につけられている名前のことを勘定科目かんじょうかもくといいます。

各勘定への金額の記入は、それぞれ左右に分けて行います。左側の記入欄のことを借方かりかたといい、右側の記入欄のことを貸方かしかたといいます。これらの記入欄には、取引による増加額と減少額をそれぞれ分けて記入します。増加額と減少額をそれぞれ借方、貸方のどちらに記入するかは、勘定によって異なります。

残高式の総勘定元帳への記録

勘定科目
総勘定元帳では、各ページの一番上にその勘定が何を記録する場所であるかを明らかにするために勘定科目を書きます。上の例では、一番上に「現金」と書いてあるため、この勘定が現金の動きを記録する現金勘定であることが分かります。
月・日欄
月・日欄には、実際に現金が増減した日付を記録します。総勘定元帳への記録を、週末など、後日まとめて行うような場合であっても、月・日欄には、記録を行った日ではなく、実際に取引が行われた日付を記録します。
取引が行われた日付の属する月が直前に記録された月と同じである場合は、月欄への記入を省略して構いません。また、取引が行われた日付が直前に記録された日と同じである場合は、「〃」と記入する形で日欄への記入を省略してすることができます。
摘要欄
仕訳において相手勘定とされた勘定の勘定科目(勘定の名前)を記入します。
ただし、相手勘定が複数ある場合は、諸口しょくちとします。
仕丁欄
その記録が転記される元となった仕訳帳のページ番号を記入します。
仕丁欄への記録は、仕訳帳に行われた記録が正しく総勘定元帳に引き継がれたことを示すために行われます。このため、仕丁欄への記録は、仕訳帳から金額を書き写したタイミングで行います。
借方金額欄
仕訳において、取引による増減額(発生・取消額)を借方に記録することとされた場合は、こちらにその金額を記入します。
貸方金額欄
仕訳において、取引による増減額(発生・取消額)を貸方に記録することとされた場合は、こちらにその金額を記入します。
借/貸欄
残高金額に記録された金額が借方残高であるか、貸方残高であるかを、それぞれ「借」「貸」の1文字で表します。
なお、借方残高、貸方残高とは、それまでに借方金額欄、貸方金額欄に記録された金額をそれぞれ合計して、合計金額が多い方のことをいいます。借方金額欄の合計金額の方が多い場合は借方残高、貸方金額欄の合計金額の方が多い場合は貸方残高となります。
残高金額欄
残高金額欄には、それまでに借方金額欄、貸方金額欄に記録された金額をそれぞれ合計して、合計金額が多い方から少ない方を差し引いた金額のことをいいます(借方金額欄の合計額と貸方金額欄の合計金額の差額)。
この金額は、直前の残高金額欄の金額に、借方金額欄、貸方金額欄に記入した金額を加減することによっても求めることができます。

現金出納帳との比較

上に示した現金勘定は、現金の動きを記録する勘定です。現金出納帳を作成している場合、その記録は現金勘定の記録と同じような形になります。しかし、現金勘定に行われる記録と、現金出納帳に行われる記録の間には、次のような違いがあります。

現金勘定(総勘定元帳) 現金出納帳
摘要欄 相手勘定を書く 現金が増減した理由を細かく書く
仕丁欄 ある ない
金額記入欄 借方金額・貸方金額 収入金額・支出金額
借/貸欄 ある ない

記録の繰越し

次のページへの記録の繰越し

前のページ

次のページに記録を繰り越す場合、借方金額欄に記録されている金額と、貸方金額欄に記録されている金額を上から下まですべて合計し、その結果を一本線を引いた下に書きます。なお、この合計金額のすぐ上に引く一本線のことを合計線といいます。

残高金額欄については、直前の残高金額欄に書かれている金額をそのまま書き写します。借方金額欄や貸方金額欄のように、記録済みの金額を合計することはありません。

次のページ

次のページの1行目には、前のページの最終行に書いた借方金額および貸方金額の合計額と、借/貸欄の記録および最終の残高金額をそのまま書き写します。前のページの最終行に書かれた内容と、次のページの1行目に書かれた内容がすべて一致していれば、途中のページが抜き取られていないこと(都合の悪いことを隠していないこと)の証明になります。

次の期間への記録の繰越し(締切り)

繰越元

このような形でページの繰り越しを続けていくと、借方金額欄と貸方金額欄に記録される合計金額がどんどんと大きくなっていってしまいます。そこで、会計期間ごとに借方金額欄、貸方金額欄に記録された合計金額をリセットするという作業が行われます。この作業のことを締切りといいます。

締切りにあたっては、借/貸欄に記録されているのと反対側、すなわち、

  • 借/貸欄が「借」となっている場合は貸方金額欄
  • 借/貸欄が「貸」となっている場合は借方金額欄

に、次の期間に繰り越す金額(最も新しい残高金額欄の金額)を書き写します(残高金額がない場合、この作業は必要ありません)。ただし、この金額は、通常、借方金額欄、貸方金額欄に記録される金額とは違いますので、それらの記録と区別するために赤字で記録します。

その後、借方金額欄に記録された金額、貸方金額欄に記録された金額を上から下まですべて合計します。その結果、2つの合計金額が一致すれば、そこまでの記録および締切りの作業に問題がなかったということになります。この場合、2つの合計金額が一致することを確認したことを表すために、それらの金額の下に二重線を引きます。また、月・日欄、借/貸欄および残高金額欄についても、その期間の記録がすべて終わったことを示すために、二重線を引いておきます。

繰越先

締切りという作業によって、繰越前の合計金額はすべてリセットされてしまった状態ですので、新しい総勘定元帳にはゼロから記録を行っていく必要があります。新しい総勘定元帳の記録を始めるにあたって、前期から繰り越された金額がある場合は、摘要欄を前期繰越としたうえで、繰越前の最後の借/貸欄および残高金額欄の記録を書き写すとともに、これと同じ金額を借方金額欄または貸方金額欄(借/貸欄に記録したのと同じ側)に記入します。

勘定式の総勘定元帳への記録

勘定科目
総勘定元帳では、各ページの一番上にその勘定が何を記録する場所であるかを明らかにするために勘定科目を書きます。上の例では、一番上に「現金」と書いてあるため、この勘定が現金の動きを記録する現金勘定であることが分かります。
月・日欄
月・日欄には、実際に現金が増減した日付を記録します。総勘定元帳への記録を、週末など、後日まとめて行うような場合であっても、月・日欄には、記録を行った日ではなく、実際に取引が行われた日付を記録します。
取引が行われた日付の属する月が直前に記録された月と同じである場合は、月欄への記入を省略して構いません。また、取引が行われた日付が直前に記録された日と同じである場合は、「〃」と記入する形で日欄への記入を省略してすることができます。
摘要欄
仕訳において相手勘定とされた勘定の勘定科目(勘定の名前)を記入します。
ただし、相手勘定が複数ある場合は、諸口しょくちとします。
仕丁欄
その記録が転記される元となった仕訳帳のページ番号を記入します。
仕丁欄への記録は、仕訳帳に行われた記録が正しく総勘定元帳に引き継がれたことを示すために行われます。
金額欄
取引による増減額(発生・取消額)を記入します。

なお、勘定式の場合は残高金額が記入される場所はありません。残高金額を知りたいときは、そのつど、そこまでに借方、貸方それぞれの金額欄に行われた記録を集計し、その差額を求める必要があります。

記録の繰越し

次のページへの記録の繰越し

前のページ

勘定式の場合、借方に行われる記録と、貸方に行われる記録は必ずしも同じ数にはなりません。借方、貸方どちらかの記録が最後の行から1行前に達したら、もう一方の記録がまだ最後の行から1行前に達していなくても、次のページに繰り越す作業を行います。

記録が足りない側(下の例では借方側)は、繰り越し後に新たな記録が追記されてしまわないように、摘要欄に斜線を引いておきます。その後、借方、貸方それぞれの金額欄に記録されている金額を上から下まですべて合計し、その結果を一本線を引いた下に書きます。

次のページ

次のページの1行目には、前のページの最終行に書いた借方、貸方それぞれの合計金額をそのまま書き写します。前のページの最終行に書かれた金額と、次のページの1行目に書かれた金額がすべて一致していれば、途中のページが抜き取られていないこと(都合の悪いことを隠していないこと)の証明になります。

次の期間への記録の繰越し(締切り)

繰越元

このような形でページの繰越しを続けていくと、借方、貸方それぞれの合計金額がどんどんと大きくなっていってしまいます。そこで、会計期間ごとにこれらの合計金額をリセットするという作業が行われます。この作業のことを締切りといいます。

締切りにあたっては、借方の合計金額と貸方の合計金額のどちらか小さい方に、それらの差額を記録します(借方の合計金額と貸方の合計金額が一致する場合は、この作業は必要ありません)。ただし、この金額は、通常、借方または貸方の金額欄に記録される金額とは違いますので、それらの記録と区別するために赤字で記録します。

その後、借方、貸方それぞれの金額欄に記録された金額を上から下まですべて合計します。その結果、2つの合計金額が一致すれば、そこまでの記録および締切りの作業に問題がなかったということになります。この場合、2つの合計金額が一致することを確認したことを表すために、それらの金額の下に二重線を引きます。また、月・日欄およびそれぞれの金額欄についても、その期間の記録がすべて終わったことを示すために、二重線を引いておきます。

繰越先

締切りという作業によって、繰越前の合計金額はすべてリセットされてしまった状態ですので、新しい総勘定元帳にはゼロから記録を行っていく必要があります。新しい総勘定元帳の記録を始めるにあたって、前期から繰り越された金額がある場合は、摘要欄を前期繰越としたうえで、繰越前に次期繰越額を書いたのと反対側にその金額を記入します。