医療法人の損益計算書
損益計算書は、会計年度中に生じた純資産の増減(基金の受入れ、基金の払戻しその他一定の取引によるものを除く)の状況をまとめたものである。損益計算書をみれば、前会計年度末の貸借対照表に記載された純資産の額と、当会計年度末の貸借対照表に記載される純資産の額の差額がどのような原因または理由によって生じたものであるかが分かる。
損益計算書の様式
医療法人が主たる事務所の所在地の都道府県知事に対して届け出る損益計算書の様式は、次の区分に応じてそれぞれのものが定められている。
- 標準様式
- 「医療法人における事業報告書等の様式について」(平成19年3月30日医政指発第0330003号、最終改正令和7年3月31日)、様式4-1
- 診療所のみを開設する医療法人
- 「医療法人における事業報告書等の様式について」(平成19年3月30日医政指発第0330003号、最終改正令和7年3月31日)、様式4-2
- 「医療法」第51条第2項の医療法人
- 「医療法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第95号、最終改正令和元年5月7日)、様式第二号
- 社会医療法人債を発行する社会医療法人
- 「社債医療法人債を発行する社会医療法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(平成19年厚生労働省令第38号、最終改正令和元年5月7日)、様式第三号
損益計算書の区分
損益計算書は、事業損益計算の部、経常損益計算の部および純損益計算の部の区分を設けなければならない。事業損益計算の部では、医療法人が会計期間中に行った本来業務、附帯業務および収益業務から生じた損益(事業損益)の額を計算する。経常損益計算の部では、事業損益の額に、受取利息等の事業外収益の額を加え、ここから支払利息等の事業外費用の額を差し引いて経常損益の額を計算する。最後に、純損益計算の部では、経常損益の額に、固定資産売却益等の特別利益の額を加え、ここから固定資産売却損等の特別損失の額を差し引き、さらに、法人税、住民税及び事業税の額を差し引く形で純損益の額を計算する。
損益計算書にこれらの区分を設けることによって、会計期間中の純資産の増減が医療法人の事業活動によって生じたものであるか、それ以外の要因によって生じたものであるかが明らかとなるため、損益計算書の利用者に対して医療法人の事業活動の状況をより明確に示すことが可能になる。
総額主義
損益計算書には、総額で金額を表記しなければならない。これを総額主義という。総額で表記するとは、対応するプラスの金額とマイナスの金額を相殺せずに、それぞれの金額をそのまま表記することを意味する。たとえば、事業収益が5000万円、事業費用が3000万円あるときに、これらの金額を相殺して事業収益を2000万円(=5000万円ー3000万円)、事業費用をゼロとすることは認められない。
総額主義は、医療法人がどの程度の規模で活動しているかを損益計算書の利用者に正しく理解させるために必要になる。プラスの金額とマイナスの金額を相殺した金額(これを「純額」という)が使用されると、損益計算書において、医療法人の活動規模が金額を相殺した分だけ小さく表示されてしまうため、このような表記方法をとることは禁じられている。