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研究業績詳細

論文
インターネットを利用した医療法人の事業報告書等の閲覧に係る各都道府県の方針の違いに関する実態調査
所収
『和光経済』(和光大学社会経済研究所)、第56巻第3号
発行日
2024年3月29日
掲載頁
1-10頁
概要
本論文は、都道府県における医療法人の事業報告書等の閲覧手続について行った実態調査の結果をまとめたものである。まず、医療法人の事業報告書等に対するアクセシビリティについては、ウェブサイト上の案内の有無、閲覧請求にあたっての個人情報の要否、および、即日閲覧可能かについて調査した。次に、医療法人の事業報告書等のうち「関係事業者との取引の状況に関する報告書」について、個人情報にかかわる情報が記載されている(と判断される可能性がある)部分の閲覧可否、および、マスキングの有無について調査した。情報開示、および、個人情報の開示に対して慎重な姿勢をみせる都道府県の数は、2022年に厚生労働省の調査研究事業として行われた「医療法人の事業報告書等に係るデータベース構築のための調査研究事業」の結果と同様であり、都道府県ごとに取り扱いの差があることが確認された。
主要参考文献
論文
医療法人における対関係事業者取引の事業報告書等を通じた実態把握の限界
所収
『和光経済』(和光大学社会経済研究所)、第56巻第1号
発行日
2023年8月10日
掲載頁
1-13頁
概要
本論文は、第7次「医療法」改正によって、医療法人に対して作成することが義務づけられるようになった「関係事業者との取引の状況に関する報告書」について、その施行後4期の開示状況の変化をまとめたものである(データは、医療法人財務情報データベースMedico Searchを使用して入手した)。「関係事業者との取引の状況に関する報告書」において行われる情報開示は減少傾向にあった。ある取引が関係事業者との取引に該当するか否かの判断には、1000万円基準の他にも、資産や(1%基準)、収益・費用の総額に対する割合(10%基準)を用いる方法もあるが、この4期で規模が増加したものはないため、この減少は、記載対象となる取引自体が減少したか、または、開示逃れのために取引方法が変更されたかによるものであると推定される。
主要参考文献
論文
経過措置医療法人に対する留保金課税の導入に関する検討
所収
『和光経済』(和光大学社会経済研究所)、第55巻第2号
発行日
2022年12月20日
掲載頁
1-13頁
概要
医療法人は、民間の医師に対して法人格を取得することを認めたものである。1985年の「医療法」改正により、一人医師医療法人が認められるようになると、個人が税務上の考慮のために法人格を取得することが顕著に行われるようになった。留保金課税は、もともと残余財産の分配という事後配当をけん制することを目的とした税務上の措置であり、第5次「医療法」改正によって社員の持分請求権が原則として禁止されたなかで、依然と同じように社員の持分請求権を認めている医療法人については、持分なし医療法人への転換を促すという意味で、留保金課税の適用について検討することに意義がある。そもそも医療法人は、税務上、会社と同様に普通法人として課税されており、会社でないことを留保金課税を行うべきでない理由とすることは望ましくない。
主要参考文献
論文
医療法による『関係事業者との取引の状況に関する報告書』における情報開示の現状と課題-第7次改正『医療法』施行初年度の開示状況調査をもとに-
所収
『和光経済』(和光大学社会経済研究所)、第54巻第2・3号
発行日
2022年3月8日
掲載頁
9-26頁
概要
本論文では、第7次「医療法」改正によってすべての医療法人に作成が義務づけられるようになった「関係事業者との取引の状況に関する報告書」について、各医療法人が作成した報告書を概観したうえで、すべての医療法人から比較可能な情報を入手できるようになるためには、どのような指針を設けることが必要であるかについて試案を示した。調査対象は、「医療法」第51条第2項の適用対象法人のうち、調査用のデータベースとして使用したMedico Searchに、「関係事業者との取引の状況に関する報告書」および独立監査人による監査報告書が掲載されている100法人とした。調査の結果、医療法人と関係事業者との関係および取引の説明に関する記述にばらつきがあり、解釈が必要である部分もみられたことから、現時点では、報告書の情報をまとめてデータベース化できる状況にはないとものと判断された。
主要参考文献