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小切手の処理(発展)

最終更新日:2024年02月25日

この記事では、自己が振り出した小切手が何らかの理由で戻ってきてしまった場合の処理と、線引小切手に代表される銀行渡り(原則として、銀行にしか支払請求を行うことが認められていない小切手)の小切手の処理について見ていきます。どちらも他人振出小切手を受け取ったときの基本的な処理とは異なる処理を行うことになりますから、その基本的な処理との違いを確認してください。

自己振出小切手の受取り

取引先等に代金を支払うために小切手を振り出した場合、その後、その取引をキャンセルしたなどの理由によって、自らが振り出した小切手(以下、「自己振出小切手」といいます)が戻ってくることがあります。相手が小切手をまだ持っているということは、当座預金口座からの支払いがまだ行われていないということになりますので、仕訳をしなくてもよさそうに感じますがそうではありません。

簿記では、小切手を振り出したときに当座預金勘定の残高を減らす記録を行ってしまっていますから、小切手が戻ってきたときは、この当座預金勘定の残高を回復させる処理が必要になります。

他人振出小切手は、通貨代用証券として現金勘定に記録されますが、自己振出小切手は現金勘定ではなく、当座預金勘定への記録となります。同じ小切手であっても、もともと誰が振り出した小切手であるのかによって、記録される勘定が変わることに注意しましょう。

【例1】商品1,200,000円の予約を行い、その内金として小切手1,200,000円を振り出した。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
前払金 1,200,000 当座預金 1,200,000

【例2】かねて予約していた商品の購入をキャンセルし、内金として渡していた自己振出小切手1,200,000円がそのまま返却された。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
当座預金 1,200,000 前払金 1,200,000

銀行渡りの小切手(線引小切手等)の受取り

小切手に記入された金額の支払いは、その小切手を振出人が指定する銀行の窓口に持参した人に対して行われます。小切手では、金銭を受け取ることができる相手を指定することができないため、特に反証がないかぎり、それを保有している者が「正当な保有者」とみなされます。このため、何の対応もしないと、悪意を持った人が、本来、支払いを受けるべき受取人から小切手を盗むなどして、その支払いを受けるべき金銭を代わりに受け取ってしまう(持っていかれてしまう)可能性を排除することができません。

このような事態を防ぐためのひとつの手段として、小切手の券面に並行する2本線を引き、線引小切手にするということが一般に行われています。線引小切手にすることで、小切手の支払先は銀行等の金融機関(または振出人が指定する銀行に預金口座を開設している者)に限定され、誰もが支払いを受けることができなくなります。銀行がすでに知っている相手にしか支払いが行われませんから、振出人も、振出人が指定する銀行も、誰に支払われたかを把握でき、必要に応じて取り返すための手続きを進めることも可能になります。

線引小切手を受け取った場合、小切手の振出しを受けた「正当な保有者」であっても、基本的には、銀行の窓口で直接現金を受け取ることができなくなります。企業は、最寄りの金融機関に対して、線引小切手で指定された銀行に代金の支払いを請求し、自分の代わりにお金をとってくることを依頼しなければなりません(これを「取立ての依頼」といいます)。そのお金は、通常、数営業日後に、一定の手数料を差し引かれて、自らの預金口座に入金されることになります。

【例1】商品900,000円を売り上げ、代金は先方振出の線引小切手で受け取った。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
現金 900,000 売上 900,000

【例2】その後、受け取った線引小切手900,000円を金融機関に呈示し、取立てを依頼したところ、手数料1,000円が差し引かれた残額が普通預金口座に入金された。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
支払手数料 1,000 現金 900,000
普通預金 899,000

なお、【例2】の仕訳を取立ての依頼をしたときに行うか、実際に入金があったときに行うかについては、企業のなかでルールを決めて、統一的に処理することが必要になります。取立ての依頼をしたときに行う場合、実際に入金があるまでの間、預金口座の残高と預金勘定に記録されている残高にズレが生じます(未取立小切手)。

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