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生産高比例法による減価償却費の計算

生産高比例法とは

生産高比例法とは、各期の減価償却費として、有形固定資産の要償却額にその有形固定資産の使用割合(各期の使用料÷総使用可能量)を掛けた金額を計上していく方法です。生産高比例法では、各期に計上される減価償却費の額が有形固定資産の使用状況によって変わるため、定額法や定率法のようにあらかじめ各期に計上される減価償却費の額を予定しておくことはできません。

減価償却費の計算方法

生産高比例法による減価償却費の計算は、有形固定資産を取得してから使用しなくなるまでどれだけ利用するか(総使用可能量)を見積もるところからはじまります。生産高比例法は、各期の有形固定資産の使用割合を総使用可能量をもとに計算していく方法になりますから、総使用可能量を見積もることができない(しかも、第三者に対してその理由を説明できるように)場合は、そもそも生産高比例法を選択することはできません。

総使用可能量を見積もることができたら、次の計算式によって各期の減価償却費の額を計算します。

減価償却費=(取得原価-残存価額)÷総使用可能量×各期の使用量

生産高比例法では、有形固定資産の取得原価から残存価額を差し引いて計算される要償却額(→減価償却費の計算)に、各期のその有形固定資産の使用割合を掛けて減価償却費の額を計算します。定額法定率法のように、耐用年数を見積もる必要はありません。

たとえば、第1期の期首に取得した取得原価40,000円、残存価額ゼロ、総走行可能距離200,000 kmの車両運搬具について、各期の走行距離が80,000 km、70,000 km、50,000 kmであった場合に生産高比例法で減価償却を行っていくとすると(1円未満切り上げ)、各期における減価償却費の額は次のようになります。

第1期
取得原価40,000円÷総走行可能距離200,000 km×当期走行距離80,000 km=16,000円
第2期
取得原価40,000円÷総走行可能距離200,000 km×当期走行距離70,000 km=14,000円
第3期
取得原価40,000円÷総走行可能距離200,000 km×当期走行距離50,000 km=10,000円

期中の使用期間が1年に満たない場合

生産高比例法は、各期の有形固定資産の使用量に基づいて減価償却費の計算を行っていく方法ですから、定額法定率法の場合とは違い、会計期間の中途での取得や売却等により、期中の使用期間が1年に満たない場合も、計算された減価償却費の額を修正する必要はありません。