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定額法による減価償却費の計算

定額法とは

定額法とは、各期の減価償却費を有形固定資産の使用期間に比例して計上していく方法です。通常、企業の会計期間の長さは毎期一定ですから、各期に計上される減価償却費の額は、毎期一定になります。

基本的な計算方法

1年分の減価償却費

定額法による減価償却費の計算は、1年分の減価償却費の額を計算するところからはじまります。わが国では、多くの企業が会計期間の長さを1年間としていますが、このような企業の場合、期首から期末まで通して使用した有形固定資産の減価償却費は、次の計算式で求めた1年分の減価償却費の額となります。

減価償却費(1年分)=(取得原価-残存価額)÷耐用年数

定額法では、有形固定資産の取得原価から残存価額を差し引いて計算される要償却額(→減価償却費の計算)を、その有形固定資産を使用できると見込まれる期間(耐用年数)で割って、1年分の減価償却費の額を計算します。このため、定額法で減価償却を行う場合は、取得した固定資産について耐用年数を見積もることが必要になります。

要償却額を耐用年数で割った結果、端数が生じた場合(割り切れなかった場合)に、端数をどのように処理するかは、各企業でルールを定めて処理します。なお、一度決めたルールは正当な理由がないかぎり継続して使用します。この場合、耐用年数最後の年度は、有形固定資産の帳簿価額が不自然に残ったり、マイナスになったりしないように調整を行う必要があります。

たとえば、第1期の期首に取得した取得原価40,000円、残存価額ゼロ、耐用年数3年の備品について、定額法で減価償却を行っていく場合(1円未満切り上げ)、各期における減価償却費の額は次のようになります。

第1期
(取得原価40,000円-残存価額0円)÷耐用年数3年=13,333.33……円  ∴13,334円
第2期
(取得原価40,000円-残存価額0円)÷耐用年数3年=13,333.33……円  ∴13,334円
第3期(耐用年数の最後)
取得原価40,000円-(第1期減価償却費13,334円+第2期減価償却費13,334円)=13,332円  ∴13,332円

期中の使用期間が1年に満たない場合

定額法は各期の減価償却費を有形固定資産の使用期間に比例して計上していく方法ですから、会計期間の途中で取得したり、売却したりするなどして期中の使用期間が1年に満たない場合、上の計算式で求めた1年分の減価償却費の額をそのまま使用することは適切ではありません。この場合は、1年分の減価償却費の額を、会計期間中に有形固定資産を使用した日数または月数に応じて按分計算することが必要になります。

使用日数で按分する場合(日割計算)
1年分の減価償却費の額÷365×使用日数
使用月数で按分する場合(月割計算)
1年分の減価償却費の額÷12×使用月数

この場合も、端数処理は企業が定めたルールにしたがって行います。