直接法による減価償却の仕訳
直接法とは
直接法とは、減価償却費を計上する際に、その減価償却費と同額を有形固定資産の勘定(建物勘定、備品勘定など)から直接控除していく方法のことをいいます。
(借) | 減価償却費 | 10,000 |
(貸) | 備品 | 10,000 |
各勘定の記録
有形固定資産の勘定は資産の勘定ですので、残高金額は次の会計期間に繰り越されます。一方、減価償却費勘定は費用の勘定ですので、期末残高は損益勘定に振り替えられ(損益振替仕訳)、次の会計期間には繰り越されません。
たとえば、取得原価40,000円の備品について、毎期10,000円ずつ減価償却費を計上していく場合、各期における各勘定の記録は次のようになります。

帳簿価額の推移
有形固定資産の帳簿価額とは、有形固定資産の取得原価のうち、まだ減価償却費として処理されていない金額(未償却残高)のことをいいます。直接法の場合、減価償却費を計上した分だけ、有形固定資産の勘定から金額が減らされていきますから、有形固定資産の勘定の残高金額が、そのままその有形固定資産の帳簿価額になります。
たとえば、上の備品について、各期末における帳簿価額を求めてみると、次のようになります。
- 第1期末
- 取得原価40,000円-第1期減価償却費10,000円=30,000円
- 第2期末
- 期首帳簿価額(第1期末の帳簿価額)30,000円-第2期減価償却費10,000円=20,000円
- 第3期末
- 期首帳簿価額(第2期末の帳簿価額)20,000円-第3期減価償却費10,000円=10,000円
- 第4期末
- 期首帳簿価額(第3期末の帳簿価額)10,000円-第4期減価償却費10,000円=0円
各期末における有形固定資産の勘定の帳簿残高は、有形固定資産の取得原価40,000円のうちまだ減価償却費として費用処理されていない金額(未償却残高)、いいかえると、将来に費用化されることが予定されている金額を意味します。減価償却費が計上された分、純利益の額は少なくなってしまいますから、赤字を出さないために、企業はこの金額を上回る収益を稼いでくる必要があります。