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医療法人グループ会計における連結範囲の画定基準

掲載誌 和光経済(和光大学社会経済研究所)
巻・号 第51巻第2号
開始・終了頁 11-20頁
発行日 2019年2月28日
論文掲載サイト https://wako.repo.nii.ac.jp/records/4667

目次

  1. はじめに
  2. 企業会計基準における連結基礎概念
    • 親会社概念と経済的単一体概念
    • 現行基準がとる立場
  3. 非営利法人の本質としての出資者持分の否認
    • 参入規制としての「非営利性」
    • 医療法人が有する財産の帰属先
    • 「非営利性」概念の見直し
    • 現存する医療法人における持分規定の状況
  4. 経済的単一体概念に基づく連結範囲の画定
    • 企業会計の基準を直接援用できない理由
    • 独立行政法人会計基準における関連公益法人等の画定基準
    • 医療法人グループの会計に援用する際の留意点
  5. おわりに

要旨

本研究では、医療法人を中心として医療・福祉サービスを提供しているグループ全体を報告単位とした連結財務諸表を作成するにあたって、どの範囲の法人までを連結対象に含めるべきかについて検討した。社団医療法人では、最高意思決定機関である社員総会の議決が1人1議決権の原則に基づいて行われるため、持分基準によって支配関係の有無を判断することはできないため、具体的な状況に基づいて支配関係の有無を実質的に判断する必要がある。非営利法人における出資関係の存在を前提としない連結範囲の確定基準として、独立行政法人会計基準に規定されている基準があり、参考になると思われる。ただし、事実上、個人事業や家業として営まれることの多い医療法人に対してこの基準をそのままの形で導入することは難しく、一定の調整が必要となる。

参考文献