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損益計算書・貸借対照表の作成(勘定式)

最終更新日:2024年06月15日

各勘定を締め切ったら、次に財務諸表を作成します。企業が作成すべき財務諸表にはいろいろなものがありますが、ここでは大陸式によって締め切られた会計帳簿(参考:勘定の締切り)から、損益計算書と貸借対照表の2つの財務諸表を、勘定式という形式で作成する方法について見ていきます。

なお、財務諸表は、企業外部に公表されるものや、確定申告に使われるものなど、その使用目的によって様式や開示すべき項目が変わってきます。実務において財務諸表を作成するときは、それぞれの状況に応じて適切なルールにしたがう必要があります。ただし、どのような様式の財務諸表を作成する場合も、その元となる会計帳簿は同じです(単一性の原則)。目的ごとに別々の会計帳簿を作ることは、記録の漏れや抜けを生む原因になったり、利益操作の手段として使われる可能性もあることから認められません。

損益計算書の作成

決算振替仕訳が終わった後の損益勘定には、借方に費用の各勘定の残高金額が、貸方に収益の各勘定の残高金額が集められており、両者の差額が純資産の勘定である繰越利益剰余金勘定に振り替えられています。損益計算書は、企業の営業活動による純資産の増減理由をまとめたものですから、この損益勘定の記録をもとに作成することができます。

企業外部に公表する損益計算書については、企業名、会計期間(いつからいつまで)、金額の単位を明らかにする必要があります。これらは、タイトルである損益計算書のすぐ下、各項目の金額が列挙される前にまとめて記載します。

売上勘定から損益勘定に振り替えられてきた金額については、それぞれ売上高として表示します。

損益勘定から繰越利益剰余金勘定に振り替えた金額については、当期純利益または当期純損失として表示します。上の図のように、繰越利益剰余金勘定の借方にその振替額が記録されている場合(収益の各勘定から振り替えられてきた金額の合計額の方が費用の各勘定から振り替えられてきた金額の合計額よりも大きい場合)は当期純利益となり、貸方に振替額が記録されている場合は当期純損失となります(参考:勘定の締切り)。

損益勘定から繰越利益剰余金勘定へは、損益勘定の残高金額がすべて振り替えられていますから、損益勘定の借方に記録されている金額の合計額と貸方に記録されている金額の合計額は必ず一致しています。このため、損益勘定に記録されている金額をそのまま書き写した損益計算書でも、借方側に記録されている金額の合計額と貸方側に記録されている金額の合計額は一致しているはずです。各勘定の締め切りと同じように、損益計算書においても、借方側の合計金額と貸方側の合計金額が一致することを確かめれば、作成は完了します。

貸借対照表の作成

大陸式で勘定の締め切りを行った場合、資産、負債、純資産の各勘定の残高金額は、すべて残高勘定に集められます。貸借対照表は、この残高勘定に集められた勘定をもとに作成することができます。

企業外部に公表する貸借対照表については、企業名、決算日(会計期間の末日)、金額の単位を明らかにする必要があります。これらは、タイトルである損益計算書のすぐ下、各項目の金額が列挙される前にまとめて記載します。

残高勘定の借方に記録されている金額の合計額と貸方に記録されている金額の合計額は必ず一致しています。このため、残高勘定に記録されている金額をそのまま書き写した貸借対照表でも、借方側に記録されている金額の合計額と貸方側に記録されている金額の合計額は一致しているはずです。各勘定の締め切りと同じように、貸借対照表においても、借方側の合計金額と貸方側の合計金額が一致することを確かめれば、作成は完了します。

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