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取引の仕訳

最終更新日:2024年02月25日

企業において生じた取引について、その構成要素を分解したら(参考:複式簿記による取引の記録)、その取引を構成する要素を仕訳という形で記録していきます。仕訳は、取引を構成するひとつひとつの要素を、総勘定元帳とよばれる財務諸表を作成するためのもととなる会計帳簿のどこに記録するかを決めていく作業です。仕訳は、現実世界で起こった出来事と、会計帳簿上の記録を橋渡しする役割を果たしています。

勘定

勘定と勘定科目

総勘定元帳では、取引の構成要素を記録する場所が、それぞれ別の場所に分けて記録されます。これらの構成要素が記録される場所のことを勘定といいます。勘定には、それが何を記録するための場所であるかが分かるようにそれぞれ名前がつけられており、この各勘定につけられた名前のことを勘定科目といいます。各勘定は、勘定科目に「勘定」とつけてよばれます。たとえば、現金という名前(勘定科目)がつけられた勘定は現金勘定、売上という名前(勘定科目)がつけられた勘定は売上勘定といったようによばれます。

企業ではさまざまな財産が使われており、また、財産が増減する理由もさまざまです。簿記は、最終的に企業全体の財産の状況をまとめて報告することを目的としています。あまりにも細かく勘定を分けてしまうと、逆に全体の状況をつかむことが難しくなってしまいます。そこで、同じような種類や性質をもつ財産やその増減理由については、勘定を区別せずに、1つの勘定にまとめて記録してしまっても構いません。たとえば、水道光熱費勘定に、上・下水道料金、電気料金、ガス料金などをまとめて記録している企業もあります。

借方と貸方

各勘定では、記録を行う場所がそれぞれ左右に分けられています。左側の記入欄のことを借方といい、右側の記入欄のことを貸方といいます。各勘定の記入欄が借方と貸方に分けられていることには、次のような意味があります。

一般に、簿記の学習をすすめるにあたって、各勘定は次のような形で表記されます。このような形式で表記された勘定のことをT字勘定とよびます。横線の上が勘定科目、横線の下が取引による増減額を記入するところで、後者は縦線で左右(借方と貸方)に分けられています。下の図では、「電気料金30,000円を現金で支払った」という取引を現金勘定と水道光熱費勘定の2つに記録したものになります。

この図では、記録が行われている方をより強調するため、金額が入っている側を青く着色しています。一方が借方に、もう一方が貸方に記録が行われていて、両者をかみあわせると借方・貸方そろった四角形になることがイメージできるでしょう。

仕訳による記録

仕訳の表記方法

仕訳は、仕訳帳とよばれる会計帳簿に行われますが、細かく記録を行う場所が分けられており、はじめて簿記を学習する人には複雑に感じられることもあるため、学習上は、これを簡潔な形で表したものを使用することが一般的です。この簡潔な書き方には、次のようにさまざまなものがあります。

  1. 記録を左右に分け、それぞれの冒頭に(借方)(貸方)または(借)(貸)とつける方法
    • (借方)水道光熱費 30,000  (貸方)現   金 30,000
    • (借)水道光熱費 30,000  (貸)現   金 30,000
  2. 記録を左右に分け、その境目に斜線(スラッシュ)を引く方法
    • 水道光熱費 30,000 / 現   金 30,000
  3. 記録を上下2段に分け、それぞれの冒頭に(借方)(貸方)または(借)(貸)とつける方法
    • (借方)水道光熱費   30,000
        (貸方)現   金   30,000
    • (借)水道光熱費   30,000
        (貸)現   金   30,000

これらはすべて学習用の表記方法であり、どれが正解というものはありません。ただし、簿記の学習を始めたばかりの人は、借方、貸方が左右どちらになるか混乱してしまう人が多いため、1.の方法で、仕訳をするたびに借方、貸方(または借、貸)と書くことをおすすめします。

なお、このサイトでは、仕訳の体裁をととのえるため、次のような表記方法をとります。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
水道光熱費 30,000 現金 30,000

仕訳の意味

これまで見てきた取引の仕訳は、すべて次のことを意味しています。

仕訳では、取引の構成要素が記録される勘定を、借方に金額が記録されるもの、貸方に金額が記録されるものに分けて記録していきます。このため、仕訳の意味を考えるときは、上のように、「借方に記録が行われるのは、……」「貸方に記録が行われるのは、……」と考えると正しく意味を読み取ることができます。

借方・貸方の合計金額の一致

仕訳では、借方に記録される金額と、貸方に記録される金額の合計額が必ず等しくなります。取引によっては、次のように、借方に記録が行われる勘定が複数あったり、貸方に記録が行われる勘定が複数あったり、また、どちらも複数あったりするような仕訳が行われる場合もありますが、どのような場合であっても借方に記録される金額の合計額と、貸方に記録される金額の合計額は必ず等しくなります。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
水道光熱費 30,000 普通預金 30,000
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
借入金 1,000,000 普通預金 1,001,000
支払利息 1,000
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
普通預金 2,000,200 定期預金 2,000,000
受取利息 200
借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
未収入金 4,500,000 土地 5,000,000
土地売却損 1,000,000 現金 500,000