三分法・期中の取引の記録

記録の全体像

• 商品の取得原価は、仕入勘定に記録します。
• 商品の販売価額は、売上勘定に記録します。
• 商品を売り上げたときに、その売り上げた商品の取得原価（売上原価）に関する記録を行う必要はありません。

分記法による仕訳の基本

商品を仕入れたとき

商品を仕入れたときは、その取得原価（引取運賃その他の付随費用を加えた金額）を仕入勘定の借方に記録します。なお、取得原価の全部または一部をまだ支払っていない場合（後払いにした場合など）も、仕入勘定には、そのまだ支払っていない部分の金額も含めた最終的に支払うことになる金額を記録します。

【例】商品10,000円を仕入れ、代金は現金で支払った。

商品を売り上げたとき

商品を売り上げたときは、その商品を引き渡すことによって得られる対価の額を売上勘定の貸方に記録します。なお、商品を仕入れたときと同じように、対価の全部または一部をまだ受け取っていない場合（後で受け取ることにした場合）であっても、売上勘定に記録する金額は、そのまだ受け取っていない部分の金額も含めた金額で計算します。

【例】商品8,000円（取得原価）を15,000円で売り上げ、代金は現金で受け取った。

返品・値引・割戻があった場合の処理

商品を仕入れたり、売り上げたりした後に何らかの理由でその商品の返品、値引があった場合、または、事前の契約に基づいて割戻しが行われた場合、仕入勘定および売上勘定に行われた記録を修正するための処理が必要となります。

仕入戻し、仕入値引・仕入割戻

商品を仕入れたとき、企業は、仕入勘定の借方に、その商品の取得原価を記録しています（商品を仕入れたとき）。その後、その商品を返品したり、その商品について値引きや割り戻しを受けた場合は、その返品や値引き・割戻しによって、返金された額（支払済みの場合）または支払わなくてよくなった金額（後払いの場合）を仕入勘定の貸方に記録します。この記録を行うことによって、仕入勘定からこれらの金額が取り除かれます。

【例1】かねて仕入れていた商品10,000円を返品した。支払い済みの代金は、全額、現金で返金された。

【例2】かねて仕入れていた商品について500円の値引きを受け、現金で返金を受けた。

売上戻り、売上値引・売上割戻

商品を売り上げたとき、企業は、売上勘定の貸方にその商品を販売したことによって得られる対価の額を記録しています（商品を売り上げたとき）。その後、その商品が返品されたり、その商品について値引きや割り戻しを行った場合は、商品を売り上げたときに、売上勘定に行った記録を取り消していきます。

【例1】かねて3,000円で売り上げていた商品（取得原価1,200円）が返品され、現金で返金した。

【例2】かねて売り上げていた商品について500円の値引きをし、現金で返金した。

なお、割戻しを行った場合も、この値引きを行った場合と同じように、割戻しした金額を売上勘定から取り除く仕訳を行います。